仙台育英、東北勢初Vへ白星発進 古川からエース・伊藤、1安打完封リレーは大会史上7度目

[ 2021年3月20日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第1日第2試合 1回戦   仙台育英1―0明徳義塾 ( 2021年3月19日    甲子園 )

<仙台育英・明徳義塾>初戦に勝利し、アルプス席の応援団にあいさつする仙台育英ナイン(撮影・井垣 忠夫)
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 令和最初のセンバツ王者を目指す32校による13日間(準々決勝、準決勝翌日の休養日含む)の熱戦が19日、幕を開けた。1回戦3試合が行われ、仙台育英(宮城)は古川翼投手(2年)とエース伊藤樹投手(3年)の1安打継投で、明徳義塾(高知)に1―0勝利。大会史上4度目の開幕戦延長サヨナラ勝利を挙げた神戸国際大付(兵庫)と、高崎健康福祉大高崎(群馬)も2回戦に進んだ。

 聖地のマウンドに立つのは3度目だ。伊藤樹は、それぞれの景色を覚えている。19年夏は通常開催だった。「1年生のときは一球一球の歓声が凄くて、気持ち良かった」。2度目は昨年の交流試合。「去年は保護者の方とかしかいなくて、豪華な(場所での)練習試合みたいな感じだった」。3度目の甲子園は、勇気をくれた。

 「今日は甲子園が奮い立たせてくれて、雰囲気に助けてもらった。甲子園は自分の力以上のものを出させてくれる」

 後輩から「お願いします」と頭を下げられ「任せろ」と返した。1―0の4回2死一、三塁。エース右腕は、先発した2年生左腕・古川翼に代わり、マウンドに上がった。6番・代木大和を145キロ直球で空振り三振。涼しい顔でベンチに戻った。結局、5回1/3を無安打無失点。1―0のしびれる展開で「準備はしていた。出来過ぎかなと思う」と77球の快投を振り返った。

 2年前の夏。奥川(ヤクルト)擁する星稜戦との準々決勝で先発。満塁弾を浴びるなど1回1/3を投げ4安打5失点。チームは1―17で大敗した。先輩に申し訳なかった。だからこそ、後輩を助けたかった。「古川に同じ思いをさせたくなかった。3年生の責任を果たそうと思って投げた」と胸を張った。

 さまざまな思いを胸に上がった、3度目の大舞台で好投。須江航監督は「挫折のない人生はない。彼はうまくいかない時期を経て、考え抜いて戻って来た。尊敬します」とエースを称えた。

 3月11日。センバツのメンバー発表があり背番号1を背負うことが決定。両親にLINEで「両親のおかげ。ありがとう」とメッセージを送った。アルプス席で見守った母・優子さんは「ご飯を作るのが好きで、オムレツを作ってくれたりします。1年生で苦しんでいるのも見ました。今日は、力強さが増していました」と愛息が見せた成長を喜んだ。

 19年夏の甲子園決勝以来、575日ぶりに開催された甲子園大会。同じ場所で悔しさと、楽しさを味わった伊藤は「これを続けていかないと。次も一戦必勝でやりたい」と言った。たくましさを増した右腕。東北勢初優勝に向け、最高のスタートを切った。(川島 毅洋)

 ≪16年の東邦以来≫仙台育英の古川、伊藤が1安打完封リレー。センバツでの継投1安打完封は16年に東邦・藤嶋健人(中日)と松山仁彦が関東第一戦で記録して以来7度目となった。なお、1―0勝利は19年に明豊が準々決勝・龍谷大平安戦で3投手の継投で記録して以来。

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