【畑野理之の理論】完全9イニング制で「阪神有利」説は本当か

[ 2021年3月20日 08:00 ]

オープン戦   阪神3ー1オリックス ( 2021年3月19日    京セラドーム )

<オープン戦 オ・神> 勝利のタッチをかわす矢野監督(撮影・大森 寛明)
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 先発の藤浪が4回で降りた後、2番手以降の5投手が5回から無失点でつないだ。改めて救援陣の頼もしさが際だったが、ペナントレースならばもっともっと小刻みな投手リレーなのだろうと思った。例えば2―1だった8回2死三塁で代打・T―岡田を迎えた場面なら、加治屋から左腕の岩崎などにスイッチするとか…。今シーズンは競ったゲームでは終盤の継投がいっそうめまぐるしくなるのだろう。

 日本野球機構と12球団が18日に臨時の実行委員会を開き、今季は延長戦無しの9回打ち切りの方針を固めた。コロナ下の特別ルールだが、このまま正式決定すれば1950年と51年に「デーゲーム12回、ナイター9回」という部分的な規定があったものの、完全9イニング制は初の導入になる。

 何がどう変わるのか考えてみた。当然、引き分けは増える。よく似たところでは、東日本大震災があった2011年と翌12年に設けられた3時間半ルールだ。延長は最大12回までも、9回以降は試合時間が3時間30分を超えて新しいイニングに入らないというもの。引き分けは11年が両リーグで計56試合、12年が74試合。10年の16試合から4倍以上になっている。

 では、よく耳にする「阪神有利」説は本当なのだろうか。投手力、特に救援陣のいいチームは、確かに10回からの3イニングを考えなくていいのだから力のある投手をどんどんつぎ込める。終盤では打者1人ずつスイッチして逃げ切ることも可能になった。投手が足りなくなったらどうしようの不安が消えたからだ。

 野球も大きく変わると思う。ベンチ入りの人数が大きく減らされないのなら、救援投手と同じように代打や代走も早め早めになりそう。5回、6回あたりで最初の勝負手とか。そして最終盤にも…。代打の神様が何人も必要??

 でも同じ条件なのだから、どの球団に有利とか不利とかはないと思っている。投手力が弱いチームも、本来なら力の劣る投手でしのがなければならない3イニングが無くなるのはかなり助かる。阪神も戦いやすくなるだろうが、他球団の監督も同じように思っているはずだ。

 矢野監督も今季の戦い方をイメージした。「継投も積極的になるよね。どこの球団もそうなると思う。やっぱり早く…。強みの部分として、どんどんいくところはいく」。有利不利ではなく、決まった条件下での対応力が求めらるシーズンなのだと思う。 (専門委員)

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2021年3月20日のニュース