履正社で14年春準V 島津製作所・溝田が8回途中4失点力投 「会社の仕事は楽しい」営業職にもやりがい

[ 2020年9月3日 18:18 ]

第91回都市対抗野球大会 近畿地区第2次予選 第1代表決定トーナメント1回戦   パナソニック4―3島津製作所 ( 2020年9月3日    わかさスタジアム京都 )

<パナソニック・島津製作所>雨の中力投する島津製作所・溝田悠人
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 現行の2次予選方式となった12年の83回大会以降、初出場の島津製作所は本大会53回の出場を誇る名門・パナソニックに敗れたが、履正社(大阪)のエースとして14年選抜準優勝を果たしたルーキーの溝田悠人(同大)が先発で7回2/3を4失点と力投。後を継いだ龍谷大平安で同大会優勝投手となった1学年上の中田竜次(龍谷大)との豪華リレーも実現した。

 「初舞台に選んでもらって、うれしく思います。点差を離さないことを意識しました」

 輝かしい球歴の右腕が新天地に選んだのは「野球が仕事」の強豪ではなく、全国大会未出場の1部上場企業。大学2年春に左足首のじん帯を切り、野球を辞めて就職しようと思っていたところ、三河隆信監督から誘いを受けた。ただ、91年創部の同社野球部員は全員、一般の社員と同じ採用方式。声をかけられたからといって採用される保証はない。さらに、平日の全体練習はなく、社業が最優先。最初は「島津製作所という名前も知らなかった」と明かすが、調べていくうちに社業と野球の両立に魅力を感じた。高校の恩師・岡田龍生監督(59)に背中を押されたことも決め手となった。

 晴れて同社の一員となった溝田は数千万円もする医療機器を扱う営業部門に配属。「“履正社の選抜準優勝投手”というだけで顔は覚えてもらえる」そうだが「それで“製品を買う”となってくれるほど甘くない。野球ばかりやってきて、パソコンの使い方も最初はわからなかった」と社会の厳しさを痛感した。それでも「先輩方も優しく、会社の仕事は楽しい」とやりがいを感じている。

 平日は新型コロナウイルス感染防止に注意を払いながら退社後ジムにもほぼ毎日通い、他のチームとの“ハンディ”を埋めるために体づくりは欠かさない。「野球をやるからには、都市対抗(本大会)出場を目指していきたい」。この日敗れたことで第4代表決定トーナメントに回り、4連勝が絶対条件と道のりは険しいが、その手で全国への扉を開く。

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2020年9月3日のニュース