西武・内海 743日ぶの白星 移籍後初勝利「ようやくライオンズの一員に」

[ 2020年9月3日 05:30 ]

パ・リーグ   西武4―2ロッテ ( 2020年9月2日    ZOZOマリン )

5回2死一、三塁、和田を三邪飛に打ち取りガッツポーズする内海(撮影・沢田 明徳)
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 2年越しの移籍初勝利だ。西武の内海哲也投手(38)が2日、ロッテ戦に先発し、5回を2安打無失点に抑えて今季初勝利。巨人時代の18年8月21日以来743日ぶりの白星となった。移籍1年目の昨季は1軍登板がなく、10月に左前腕筋腱の修復手術を受けた。再起を図るベテラン左腕が復活の通算134勝目を挙げ、チームを4連勝に導いた。

 38歳は必死に走った。0―0の5回2死。内海は菅野のゴロを捕れず、ベースカバーに入った。無安打が途切れ、両太腿をつった。続く田村の右前打でもベースカバーでつった。でも歯をくいしばり、5回を投げきった。

 「2回きて…。でも持ちこたえてくれた」。75球で限界に達した。5回を2安打無失点。6三振を奪う力投に勝利の女神がほほ笑む。6回に打線が先制し、743日ぶりの白星。「1軍で勝って、ようやくライオンズの一員になれるという気持ちがずっと心にあった。本当に感無量」と笑顔で話した。

 今季2度目の登板。投げる前に、帽子のつばの裏に書き込んだ家族のイニシャルを見て深呼吸した。「マウンドは一人では不安で。“後ろに付いているよ”という気持ちになる」。聡子夫人、3人の息子と長女は球場で見守っていた。勝てない時も、投げている時も支えられていた。

 18年オフにFA宣言した炭谷の人的補償で西武に移籍したが、開幕前に左前腕の張りで離脱。プロ16年目で初めて1軍で投げられなかった。「期待されて来たけど、何もできなかった」。状態は上がらず、目標を持てず、戦力外通告の不安さえよぎった。10月には左前腕を手術した。

 迎えた1月だった。「今年ダメだったら…というのは自分の中にある」。悲壮な決意だけではない。「1軍で投げる」という明確な目標もできた。自らを追い込むため、奄美大島の自主トレは初めて他の選手と行わなかった。孤独と向き合い、2軍で結果を残して1軍にはい上がった。

 2学年上の先輩の存在も気持ちを前に向かわせた。古巣に復帰した松坂だ。09年WBCでともに戦った仲間。頸椎(けいつい)手術の影響でリハビリ中だが「一緒に練習できるだけでうれしい。刺激になる」。同じく09年WBCで同僚だった「松坂世代」の阪神・藤川の引退発表。「代表では助けてもらった部分もたくさんあった」と感謝する。自身も引退の二文字と闘っている。通算134勝目は大きな活力となった。

 ヒーローインタビューでは、左翼席で応援してくれた西武ファンにウイニングボールを高々と掲げた。「多くの人にお世話になった。家族もそう。この球は家族、息子たちに見せたい」。内海家の宝物が一つ増えた。 (大木 穂高)

 【「134勝」並んだ上原氏が祝福】巨人時代の先輩で日米通算134勝の上原浩治氏(45、写真)が、自身のツイッターで内海を祝福。自身の勝利数に並んだ左腕に対し「西武、内海選手。よかった。これで並んだかな。次回で抜くことを期待してるで」とつづった。同氏と内海は04~08年と18年に巨人でともにプレーした。
 

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