阪神・糸原 天敵の大野雄撃破 逆立ちから始まったスイング改造、「脱力」意識でレベルアップ

[ 2020年7月18日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4―1中日 ( 2020年7月17日    甲子園 )

<神・中(4)> 7回2死一、三塁、左前適時打を放ちガッツポーズする糸原 (撮影・平嶋 理子)                                                             
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 阪神は、17日の中日戦に4―1で勝利し、今季初めて単独4位に浮上。最大8あった借金を2まで減らした。糸原健斗内野手(27)が7回にダメ押しとなる左前適時打を放つなど、今季初の3安打をマーク。不振の近本を外すなど“天敵”だった中日・大野雄対策として組まれた新打線でも不動の2番に名を連ねた男が、価値ある勝利をもたらした。

 変化を恐れず地道に流してきた汗の“結晶”が左翼前で弾む。糸原の出した「答え」が快音に変わった。

 「昨年からやられっぱなしだったので、絶対にやり返してやろうという気持ちは常に持っているので、それが結果につながった」

 7回2死一、三塁で迎えた第4打席。4球目の直球を捉えた打球は鮮やかに三遊間を抜けた。リードを3点に広げる適時打。昨年から試合前まで20イニング連続無失点と、立ちはだかってきた大野雄を沈める大きな1本だった。不振の近本を外すなど“天敵”対策として打順を組み替えて臨んだ一戦でも「2番」は不変。「しっかり準備して臨むことができた」。自身も昨年10打数1安打と抑え込まれたが、研究を重ね、痛快なリベンジに成功した。

 3回1死一、二塁からの三塁への弱いゴロは、ファウル地域からフェア地域へ転がる幸運な内野安打となり、処理した溝脇の一塁悪送球も呼び込み先制点をアシスト。5回の左前打も含めて今季初の猛打賞に「(1本目は)僕らしいヒット。あのヒットが3本打てた要因」とはにかんだ。

 “逆さまの世界”から変革は始まった。今オフ、時間を多く割いたのは逆立ちや、ブリッジ。両手で体を支え、顔を真っ赤にしながら一歩ずつ進化を目指した。「(逆立ちは)今までやったことない動きをやってみようと。根本的な部分で体の使い方を変えようと思ってやってました」。

 目的はスイング改造にあった。「昨年までは打席でとにかく力みまくっていた。今年は力まずに、体を柔らかく使うというか。野球は飛距離を競うスポーツじゃないんで。自分のスタイルに合うものを見つけられた」。一言で表すなら「脱力」でも、体現しているのは胸骨を意識した柔軟性重視の鋭いスイング。開幕直後の苦闘を経て、ようやく理想に結果が追いついてきた。

 自己最長の9試合連続安打で打率は・306まで上昇。不動の2番打者は、愚直に次戦へ目を向けた。「(前後を打つ打者が変わっても)僕のやることは変わらない。自分の仕事をするだけなんで」。気持ちは強く、スイングはしなやかに。主将がチームを加速させる。 (遠藤 礼)

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