巨人「飛車角」復活で4連勝 原監督 将棋の奥深さ語る「人生の縮図」

[ 2020年7月18日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人2―1DeNA ( 2020年7月17日    横浜 )

3回2死、左越えソロを放った丸(左)を迎える原監督(撮影・島崎忠彦)
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 巨人は17日、DeNA戦で6回裏終了後に降雨コールドで勝利して4連勝。初回に坂本勇人内野手(31)が27打席ぶり、通算1900安打となる中前打を放ち、3回は丸佳浩外野手(31)が決勝4号ソロを放った。ともに打率2割台前半に低迷するチームの「飛車角」が原辰徳監督(61)の采配で復活。将棋界は藤井聡太新棋聖(17)が話題を独占しているが、通算1038勝の名将のタクトもさえまくっている。

 午前9時前の広島空港。原監督は報道陣から藤井棋聖について振られ「17歳だもんなぁ」とうなった。「人生の縮図」と語る将棋は「相手のことを読むから勉強になる」と采配にも生かす。小学生時代に父・貢氏から教わり、巨人時代は江川卓氏に30秒の「早指し」で鍛えられた。「時間があるとロッカーでやった。3回に1回しか勝てなかった」と懐かしみ横浜に向かった。

 9時間後。盤上で培った用兵術を雨中のグラウンドで発揮した。「予報がよくないのは分かっていたから最初に1点を取りにいこう」と初回から2番・坂本、3番・丸に送りバントのサイン。広島空港で「だらしない。本調子じゃない」と評すなど、ともに打率2割台前半に低迷する両者の調子も鑑み、悪天候も見越して先手、先手で「駒」を動かした。

 打撃不振ではあるが、主将で昨季40本塁打の坂本は将棋の駒でいえば「飛車」、巧打のクラッチヒッターの丸は「角」といえる存在だ。坂本は初回無死一塁で初球にバントの構えを見せ、強攻策に変更となった4球目で27打席ぶりとなる中前打。これで通算2000安打まで残り100とした。「チームで戦っている以上、サインを実行できるように準備は常にしている」と話す丸は、続く無死一、二塁で送りバントに失敗。その後に空振り三振に倒れた。それでも1―1の3回に左翼席最前列に決勝4号ソロ。汚名を返上した。

 鬼門のマツダスタジアムで、9年ぶりにカード3連勝した前日までの広島3連戦でも5犠打を指示し、全て得点につなげた原監督。坂本には6年ぶりの初回犠打、丸にはプロ初の1試合2犠打を命じるなど采配にメッセージを込めた。悔しさ、もどかしさは必ず復調につながると信じて。打ち続ける最善手が「飛車角」を復活させ、降雨コールドで勝利を飾った。将棋のように何手も先を予想しながら即断即決で指揮した原監督は「勝ちをつけることができたのは幸運」と振り返った。

 今季2度目の4連勝で首位快走。濡れたユニホーム姿の原監督は「もう寒くなったから風呂入るよ」と笑った。将棋界なら「名人」に位置するであろう名将は、大胆かつ緻密な一手を積み重ねてリーグ2連覇を目指す。(青森 正宣)

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