「近本でもこうなるのか」 苦悩がにじむ2年目のジンクス

[ 2020年7月18日 08:30 ]

好機に空振り三振に倒れた近本(撮影・大森 寛明)
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 「近本でもこうなるのか」。そう思っている人は少なくない。

 昨季にセ・リーグの新人歴代最多159安打を放ち、36盗塁でタイトルを獲得。スター選手への道を歩み出したばかりの今年2年目、苦しんでいる。

 ここまで全試合で先発出場も80打数14安打の打率・175はリーグ最下位だ(7月16日時点)。好不調を繰り返すというより低空飛行がずっと続いている内容。16日には今シーズン初めて代打交代を経験した。いわゆる『2年目のジンクス』にぶつかっている。

 昨オフ、この『2年目のジンクス』についてたびたび持論を展開していた。ある時は「2年目のジンクスというのは周りが言うことであって、いつであっても良い時も悪い時もあるのが野球。“2年目”ということを特別に考える必要はない」。またある時には「壁は2年目であろうが3年目であろうが、どこかで必ず来る」とし、こう語っている。

 「壁がきた時の感情とか、どう思ったのかを忘れずに大事にして、次の試合や次の1年に生かしていく。そう考えたいですね」

 いまがまさにその時だ。試行錯誤が結果につながらない。テレビで映し出される表情には苦悩がにじんでいる。凡打の後にバットをたたきつけた日もあった。何を思い、何を感じているのか。感染拡大防止策の規制で自由な取材が叶わない今、想像しかできないが、かつてない感情と向き合い、乗り越えようとしているはずだ。

 近本は特殊な存在だと認識している。ルーキーイヤーの昨季、連日注目を浴びても常に冷静だった。3安打猛打賞であろうが痛恨の失策を犯そうが、試合後はいつも同じテンションで報道陣にプレーを解説した。好不調に言動が左右される選手が多いだけに、新鮮で、印象的だった。

 いかなる状況でも感情に振り回されない。そんな姿を見ていた多くの人が「2年目のジンクスは関係なさそう」と予想したほど貴重な精神力を持っている。だからこそ、出口が見えないトンネルでどうもがき、苦しみ、戦っていくのか。注目だ。(巻木 周平)

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2020年7月18日のニュース