広島・大瀬良 マツダのファンに届けた「初勝利」

[ 2020年7月18日 05:30 ]

セ・リーグ   広島9-2ヤクルト ( 2020年7月17日    マツダ )

<広・ヤ(3)>堂林(右)からウイニングボールを受け取る大瀬良(左から2人目) (撮影・奥 調)
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 一夜にして最下位脱出だ。広島は17日のヤクルト戦に9―2で快勝し連敗を3で止めた。大瀬良大地投手(29)が6回2失点の粘投でリーグトップに並ぶ3勝目を挙げ、有観客開催4戦目にして初星を飾った。

 コロナ禍の苦境で送られる本拠地の声援、拍手が心に染みる。状態が良くない中で粘り抜いた6回118球。スタンドに詰めかけた4991人の観衆に勝利を届け、負けられない一戦で今季3勝目を飾った大瀬良は晴れやかな表情だった。

 「2失点したけど、粘り強く投げてゲームはつくれた。勝って、チームの連敗を止めようと思っていた」

 4回以外は毎回出塁を許す苦投。球数はかさみ、70%の高い湿度が体力を削(そ)いだ。塩分を摂取して臨んだ6回がヤマ場だった。1死一、二塁でエスコバーに2点二塁打を浴びた。だが、簡単に降板しないのが主戦の値打ちだ。こん身の力を込めて後続2人を斬ってみせた。

 「続投させてくれた(佐々岡)監督の思いに応えたかった」

 真のエースを目指す2020年。新春1月の自主トレ公開日に発した言葉が印象的だ。「“ここぞ”で勝てないと、本物とは言えない」――。脳裏には、要所で勝てなかった昨季終盤の悔投を刻む。ヤクルト戦の連勝がデビューから12で止まった9月16日もしかり。勝っていれば、シーズンの勝率5割以上が確定し、3位に近づいていた。

 この日も負けられない一戦だった。本拠地で初の有観客開催となった、先の巨人戦でまさかの同一カード3連敗。大瀬良で止められなければ、2戦目以降の投手は重圧が増す。踏みとどまりたい今季序盤の要所。近況は投壊が続いており、負の流れを断ち切る意味でも価値ある1勝だった。

 「2点は取られたけど、大地以上の投手はいないからね。信じて投げさせた」。佐々岡監督は6回のピンチでの続投理由を説明し、イニング終わりまで投げ切った右腕を「状態はあまり良くなかったけど、粘り強く投げてくれた」と称えた。

 有観客開催4戦目にして白星を挙げ、一夜にして最下位を脱出した本拠地での戦い。大瀬良が披露した粘り腰を逆襲につなげたい。 (江尾 卓也)

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2020年7月18日のニュース