大阪桐蔭・西谷監督「根尾さん」を賞賛　歴代最強証明

第１００回全国高校野球選手権記念大会最終日・決勝   大阪桐蔭１３―２金足農 （ 2018年8月21日    甲子園 ）

＜大阪桐蔭・金足農＞５回無死一塁、大阪桐蔭・根尾は吉田から中越え２ランを放つ（撮影・大森　寛明）
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　決勝があり、大阪桐蔭（北大阪）は金足農（秋田）を１３―２で下して４年ぶり５度目の優勝を果たし、平成最後となる１００回目の夏に史上初となる２度目の春夏連覇を成し遂げた。今秋ドラフト１位候補の根尾昂内野手（３年）が今大会３本目の本塁打をバックスクリーンへ運ぶなど大会Ｎｏ・１右腕の吉田輝星投手（３年）を攻略。歴代最強チームを証明した。

　打球が右翼手・青地のグラブに収まると、根尾は遊撃の位置から勢いよく仲間のもとに走った。マウンド上にできた歓喜の輪。背番号６はもみくちゃにされながらＮｏ・１を示す人差し指を空にかざした。１００回目の夏に成し遂げた２度目の春夏連覇。閉会式が行われた聖地の上空には史上初の偉業を祝福するかのように美しく、大きな虹が架かった。

　「シンプルにめちゃめちゃうれしかったです。大阪桐蔭のユニホームには圧があるというか、素晴らしい高校だと思う。意識の高い仲間とプレーできてうれしかったです」

　むせび泣く中川主将とは対照的に、根尾は実に晴れやかな笑顔を浮かべた。最大の見せ場は５点リードの５回無死一塁。真ん中高め１４０キロ直球を仕留めた打球は弾丸ライナーでバックスクリーンへ消えた。「球が強かったので、叩いただけで伸びてくれた」。大会３本目のアーチは節目の高校通算３０号。最速１５０キロ右腕・吉田の剛球を打ち砕いた。

　副主将として個性の強い最強世代を硬軟自在にまとめあげた。時には厳しい言葉を使う中川主将をサポートする一方、目配りと気配りで仲間を支えた。西谷浩一監督は言う。「バスを降りたら一番に走っていく。１年生よりも先にトンボをかけるし、道具も出す。授業で根尾が寝ていたなんてことを聞いたことがありません」。最近では指揮官も冗談交じりに「根尾さん」と呼ぶほど信頼は熱い。

　根尾とともに今秋ドラフト１位候補にあがる藤原も３安打２打点と暴れ回った。先頭で迎えた５回は右前打で出塁し、根尾の一発で生還。打者一巡した２死満塁では左中間へ適時二塁打を放ち、一挙６得点につなげた。「入学した当時から根尾は日本で一番注目されていた選手。そんな選手が自分の近くにいてくれた。いい刺激になったし、自分の成長にも役立ったと思います」と感謝した。

　２本塁打を含む１５安打１３得点の猛攻で頂点に立った。藤浪（現阪神）らを擁した１２年に続く春夏連覇だ。「勝つことで最強のチームということを証明したかった。６年前のチームと比べることはできませんが、３回優勝したという実績では上回ったんじゃないかな」と指揮官。ＰＬ学園の桑田＆清原の「ＫＫコンビ」でさえ甲子園では２度しか優勝できなかった。平成最後の夏――。「歴代最強チーム」として大阪桐蔭の名は刻まれた。（吉仲　博幸）