貫いた金農9人野球 交代選手起用せず“日本一”の結束力

[ 2018年8月22日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会最終日・決勝   金足農2―13大阪桐蔭 ( 2018年8月21日    甲子園 )

<大阪桐蔭・金足農>9回終了間際、金足農・吉田(右)らは肩を組んで応援する(撮影・近藤 大暉)
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 涙で目が真っ赤になった金足農ナインは胸の銀メダルをもどかしそうに見つめた。吉田とのバッテリーで大阪桐蔭打線に挑んだ捕手の菊地亮は「見極められて、いつタイミングが合うか怖かった。対応力が本当に高い」と悔しさをにじませた。

 6回。吉田に代わって三塁・打川が登板。吉田は右翼へ回り、左翼・佐々木大夢が三塁、右翼・菊地彪が左翼に移った。秋田大会を通じて11試合目で初めての交代は、ポジションが替わっただけで、9人で聖地に立ち続けた。2回には中泉監督が「サインを見破られていたので途中でサインを替えたが、良くなかった」と悔やんだスクイズ失敗があった一方で、3犠打を成功。大会通算22犠打で伝統のバントが輝いた。

 それぞれ別の中学の軟式野球部でプレーし引退した中3の夏。硬式に移行するため約半年間、秋田北リトルシニアに集った7人がいた。それが吉田、菊地亮、菅原天、斎藤、打川、佐々木大夢、菊地彪。当初は別の高校への進学を考えていた選手も、好投手として名前が響き渡っていた吉田が金足農に行くと知って、次々と進路を金足農に変えた。これが始まりだった。

 入学時は同学年が12人。3年になる頃には、今大会故障で唯一ベンチ入りできなかった川和田優斗も含めた10人となったが、最後の夏まで駆け抜けた。川和田も「絶対に一人も欠けず最後まで頑張ろうとやってきた結果」とうなずいた。

 「9人でやるのはとても難しいこと。これから社会に出て生きていくのに、とても良い経験になった」と菊地亮。一生忘れられない夏が終わった。 (松井 いつき)

 《36年ぶり全6試合交代選手起用せず》金足農は決勝までの6試合で試合中のシフト変更はあったが交代選手を起用しなかった。決勝に進出したチームで出場選手が9人のみだったのは95年星稜(5試合=打順変更あり)以来23年ぶり。6試合戦ったチームでは82年池田(試合中のシフト変更あり)以来36年ぶりとなった。

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