脇役の活躍も光った!ファンが選ぶ2016年広島・陰のMVPは?

[ 2016年9月30日 09:25 ]

広島のヘーゲンズ

 25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島。クライマックスシリーズや日本シリーズは残っているが、早くもMVPは誰なのか? そんな方向に目が向いているファンも多いだろう。

 そこで、マニアックな広島ファンに「今シーズンのMVP選手は?」と意見を募集したところ、マニアならではの独自な視点にもとづいた選考が多数あった。

 今回はそんなマニアが選ぶ2016年の“個人的MVP”をここに紹介したい。

◎今年の快進撃はここから始まった

 現在、世間一般でMVPの候補に挙げられているのは、以下の選手たちだろう。

 ジョンソン、新井貴浩、菊池涼介、鈴木誠也。

 だが、マニアックな広島ファンがあげるMVPは一味違った。

 30代の男性がMVPに推すのは、中継ぎ、先発とフル回転したヘーゲンズだ。

「序盤の中継ぎの不調、後半の先発不足。いずれもヘーゲンズの活躍でしのいできた。ヘーゲンズがいなかったら優勝は絶対になかったと断言できる」

 その通り、今シーズンのヘーゲンズはチームの危機を幾度も救ってきた。

 開幕を2軍で迎えたヘーゲンズが1軍に上がってきたのは4月22日。中継ぎの不調で試合を落とすことが多かった序盤の広島。その穴にピンポイントではまったヘーゲンズは中継ぎとして活躍の場を得た。

 得意のカットボールでゴロを打たせる投球は、鉄壁の守備力を持つ広島でこそ輝きを増す。気がつけば勝利の方程式の一角を担い、初夏の快進撃を演出していた。

 その後、ローテーション投手が続けて離脱したことで、先発として白羽の矢が立ったヘーゲンズ。勝利の方程式を崩すのは勇気のいる決断だったが、その決断にヘーゲンズは見事に応え、先発で6試合に登板しチームは3勝。急遽な配置転換も結果を残している。

 今シーズンの広島に起きた危機的状況を2度も救ったヘーゲンズこそ真のMVPなのでは!? 数字では見えない貢献度が、マニアックなファンの心をくすぐりMVP候補に推されたようだ。

◎連勝のはじまり、優勝への激走

 次に名前が上がったのは守備、走塁のスペシャリスト・赤松真人だ。

「今年のターニングポイントとなる試合を決めたのは赤松だった。物議を呼んだあの“コリジョンサヨナラ”から、赤松の足同様にとてつもない速度でカープが上がっていった」

 そう語るのは40代の男性。6月14日の西武戦。赤松の放った一打は、今シーズンから導入されたコリジョンルールの影響で、判定が覆る幸運なサヨナラ勝ちを呼び込む。この試合を起点に始まった34年ぶりの11連勝で広島は独走態勢を築いていった。

 このコリジョンサヨナラだけではなく、時として大きな仕事をやってのけるのが赤松の魅力。しかし、大仕事もさることながら、赤松の最大の魅力は脚力にある。

 今シーズン、飛躍的に得点が伸びた広島。その原動力のひとつには、これまた飛躍的に伸びた盗塁数がある。そして、その陰に赤松の存在があったのは、ファンのなかでは有名な話だ。

 赤松の盗塁技術、洞察力、相手投手の癖盗みはチーム随一。その技術を惜しむことなくチームに浸透させたことこそ、盗塁数と得点数が増加した一因と見られている。

 もちろん代走出場した赤松自身が相手チームに与えるプレッシャーも驚異的だ。現在、15得点はチーム12位。出場数87試合、19打数7安打の選手がこの得点を挙げている事実は、赤松の走塁技術の高さを裏づけている。

◎脇を固める選手の充実が強いチームの象徴

 この他にも、ベテラン捕手・石原慶幸や、今村猛らをMVPに推す声もあった。彼らのような脇を固める選手たちをMVPに推す声が挙がることが、今年の広島のよいチーム状況を象徴しているように思えてならない。

 いつでもヒーローが誕生し、脇を固める選手が仕事を全うした。その総合的な強さが、今季の広島の躍進に繋がったと言える。

 今回、名前の挙がった選手たちのMVP受賞は残念ながらないだろう。しかし、彼らの活躍なくして今シーズンの快進撃はなかった。その事実はファンの誰もが知っている。(※成績は9月29日現在/『週刊野球太郎』編集部)

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