【内田雅也の追球】阪急阪神HD発足から10年 これからも阪神タイガース

[ 2016年9月30日 10:00 ]

 阪神が2006年11月14日のオーナー会議に提出した文書が今も日本野球機構(NPB)に保管されている。

 「誓約書」と題された文書には、阪急ホールディングス(HD)社長・角和夫、阪神電鉄社長・坂井信也、阪神球団オーナー・宮崎恒彰(肩書はいずれも当時)の署名・捺印がある。

 「将来的にタイガースを保有し……第三者に譲渡せず……阪急阪神ホールディングス(HD)として、タイガースを全面的にバックアップし……わが国プロ野球の発展、振興に貢献するよう努力することを誓います」

 通称・村上ファンドによる株の買い占め騒動があった05―06年、阪神電鉄はいわゆるホワイトナイトを阪急HDに求め、経営統合された。阪急阪神HDが発足したのが06年10月1日。1日で丸10年を迎える。

 当時、7月5日のオーナー会議で「阪急HDが事実上、球団経営に携わる」との見解から新規参入とみなし、規定通り預かり保証金25億円、野球振興協力金4億円、手数料1億円の計30億円の支払いを求められていた。

 阪急の球団(ブレーブス)身売りの過去や阪神電鉄の70年にわたるプロ野球への貢献など賛否が渦巻いていた。

 阪神は宮崎が他球団を行脚して理解を求めた。コミッショナー・根来泰周の助言もあり、阪急HDとの間で交わしたのが先の誓約書である。

 誓った内容は「身売りはしない」という永続保有と野球振興貢献。これで手数料を除く29億円の支払いが免除された。

 ただ、主体者は「阪急阪神HD」で「阪神電鉄」ではない。また、預かり保証金25億円の預託期間10年を迎えることで「何か変化があるのでは」との声も聞こえる。

 今年6月14日の阪急阪神HD株主総会で、角は「球団名称は未来永劫(えいごう)、阪神タイガース」と断言した。阪神球団の経営は阪神電鉄が行い、それは今後も変わらない。

 球団名称に親会社の名前がない大リーグをみても「球団は誰のものか」という根本問題がある。「球団は文化的公共財」という旧野球協約、現機構定款の名文句がある。

 元阪神球団オーナー・久万俊二郎の言葉を思い出した。「阪神という名称が良かった。社名なのだが、地域名でもある。地域の人びとに愛される球団であるべきだ」

 阪神は、これからも「阪神」タイガースである。 =敬称略=
 (スポニチ本紙編集委員)

続きを表示

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

2016年9月30日のニュース