【石井一久クロスファイア】殿堂入りピアザ 折れるバットのこだわり

[ 2016年7月27日 11:30 ]

米国の野球殿堂入り式典で、表彰を受けたマイク・ピアザ氏(左)とケン・グリフィー氏(AP)

 24日(日本時間25日)に米国の野球殿堂入り式典が開かれ、対照的な2人の選手が表彰された。ドラフトいの一番で入団したケン・グリフィーと、ドラフト62巡目(全体1390番)と最も指名順位が低い殿堂入りした選手となったマイク・ピアザ。僕は05年シーズン途中からメッツでピアザとチームメートだった。彼は07年限りで引退したので、選手生活は終わりの時期。それでも、バットスイングはそれほど速くないのに右方向に打球が伸びる、あの独特の打撃は健在だった。

 ピアザのバットを何度か持たせてもらったことがある。印象に残っているのは、ヘッドがとにかく重いこと。しなりを利かせ、パワーが伝わるようにメーカーにリクエストしていたのだろう。ヘッドを重くすると、当然他の部分は軽くなるので、芯を外した時はバットが折れやすくなる。

 ピアザの有名なシーンの一つに、ニューヨーク決戦となった00年のヤンキースとのワールドシリーズがある。その第2戦、クレメンスの速球にバットを折られ、その破片が投手方向に飛んでいった。これを拾ったクレメンスがピアザに投げつけたことで乱闘騒ぎとなった。バットが折れた一因には、ピアザなりの成功するためのこだわりがあったともいえる。バットはとても大事にしていた。雑に放り投げておく選手が多い中、クラブハウスの湿気も気にして、スタッフにしっかり保管を頼んでいた。

 捕手としては、肩の弱さが弱点だった。盗塁を許してしまうので、投手は正直、あまり組みたがらなかった。当時のメッツにはトム・グラビンやペドロ・マルティネスら超一流の投手がいたので、監督は相当苦労したと思う。投手も捕手もスーパースターというのは、チームづくりが難しい。

 その頃のメッツはペドロをはじめノリのいいラテン系の選手が多かったが、イタリア系米国人のピアザはどこか「陰」な感じもあり、普段は物静か。クラブハウスでも周りが騒いでいる中、いつも一人で気を落ち着かせていた印象がある。とにかく個性派ぞろいで、僕ならあのチームで監督はやりたくないですね。(スポニチ本紙評論家)

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