ロッテ 岡田が2人いたら外野は十分 目を離せない守備力の凄さ

[ 2016年5月31日 12:40 ]

24日の日本ハム戦初回1死二塁、本塁に送球するロッテ・岡田

 正直に言う。岡田が好きだ。ロッテの背番号66の守備に記者は長い間、恋をしている。岡田が中堅の守備に就くと、もう視線は離れない。バットが快音を発するとしよう。その手応えにヒットを予感した打者の希望は岡田のグラブの中で潰える。それはゾクゾクする快感だ。

 岡田の凄さはキャッチに止まらない。5月24日の日本ハム戦(札幌ドーム)、初回1死二塁の守備。田中賢の中前打をダッシュで捕球すると本塁ベースやや三塁寄りに2バウンド返球。ここしかない場所とタイミングで走者の陽岱鋼(ヨウダイカン)を補殺した。タッチした捕手の田村も見事だが、やはり精密な返球に見とれた。

 試合後、岡田は「今の(コリジョン)ルールでは、あそこしかない」とコメント。記者は3月に取材した2軍の西武戦(西武第2)の似たシチュエーションで、岡田が同じ場所に同じ高さで返球したのを目撃した。コリジョン(衝突)ルールそのものより、岡田のプレーが先に熟成している。

 以前、右中間を完璧に破った長打を振り返り、中堅を守っていた岡田に「あれ、捕れなかった?」と聞いた。怒ってもいいほど失礼な質問に「実を言うと一瞬、スパイクが滑ったんです」と悔しそうに答えた。恐るべし……。ロッテのある同僚が言った。「岡田さんが2人いて左中間と右中間を守ったらウチの外野は十分です」。記者もそう思う。

 陽岱鋼を補殺した後も岡田は淡々としていた。ガッツポーズはおろか笑顔すらなかった。岡田にとってアウトを取ることが普通のプレーなのだ。投手の球種、捕手のミット位置、打者の特性、試合の状況、そして風向き。情報を1球ごとに集約して計算。打球が飛んだ瞬間には落下地点に駆け出している。岡田に派手なダイビングキャッチは少ない。何故なら打球がどこに落ちようと、岡田はそこに立っているのだから。(記者コラム・君島 圭介)

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2016年5月31日のニュース