阿部復帰の誓い「打つ!!」 5番DH濃厚、巨人を“ダーン!”で救う

[ 2016年5月31日 05:30 ]

新大阪駅に到着しタクシーに乗り込む阿部

交流戦 巨人―オリックス

(5月31日 京セラD)
 12年目を迎える「日本生命セ・パ交流戦」が、31日に開幕する。打線に元気がなくセ・リーグ5位に低迷する巨人は、右肩痛で開幕から2軍調整を続けてきた阿部慎之助捕手(37)がオリックス戦(京セラドーム)で1軍昇格。復帰戦は「5番・DH」で先発出場することが濃厚だ。10年ぶりの7連敗を29日にようやく止めたチームに、百戦錬磨の主砲が帰ってくる。

 力強く、はっきりと宣言した。川崎市のジャイアンツ球場。阿部が敵地大阪入りを前に荷物を取りに現れた。戦列で果たすべき役割は分かりきっている。一言で言った。

 「打つ!!!」

 ついにこの時が来た。チームは最近10試合で、7連敗を含む2勝8敗で首位から5位転落。その間の平均得点はわずか1・8点と貧打に苦しむ。8試合で4番を務めたクルーズは左足首痛のため29日の阪神戦(東京ドーム)を欠場。助っ人の状態次第だが、阿部は復帰戦で「5番・DH」に座ることが濃厚だ。

 29日に勝ち、交流戦前に大型連敗は脱した。だが過去の屈辱が頭をよぎる。「10連敗した後に勝って、9連敗したこともある」。06年の6月から7月にかけてだ。8連敗のあと3試合(2勝1敗)を挟んで10連敗。さらに2連勝を挟んで9連敗し、同年は4位でシーズンを終えた。10年前を思い出した37歳は「その経験を踏まえて頑張る」と、自身のバットで負の流れを断ち切る覚悟だ。

 捕手専念を宣言した今季だが右肩痛で開幕2軍スタート。送球だけでなく、打撃にも「地味に痛い」と影響を及ぼした。患部への注射やPNF(固有受容性神経筋促通法)など懸命のリハビリを続け、28、29日の2軍戦では試合終盤から約2カ月ぶりに守備に就いた。捕手でのフル出場はないため、右肩の状態を見てマスクをかぶる機会を探ることになりそうだ。

 打撃面での不安は一切ない。29日の2軍戦では2本塁打を含む4打数4安打で7打点をマークした。スローペース調整を続けていた1月の宮崎自主トレ。阿部は映画「ナルニア国物語」で、要所で現れては国の危機を救うライオン王「アスラン」と自身を重ね合わせ「普段は雲隠れしてるけど“ダーン!”と出てきて、お国を救う。アスランになる」と言った。3月25日開幕から67日遅れの合流。打撃の王が「ジャイアンツ王国」を救うときが来た。 (神田 佑)

 ≪阿部復帰まで≫

 ▼2月上旬~中旬 宮崎キャンプはスペシャル班で独自調整。沖縄移動後に1軍合流。

 ▼20日 今季初実戦。DeNAとのオープン戦(那覇)にDHで出場。

 ▼22日 右肩のコンディション不良で別メニュー調整。

 ▼28日 ヤクルトとのオープン戦(東京ドーム)にDHで出場後、2軍調整が決定。

 ▼3月14日 2軍戦出場を経て、1軍に合流。

 ▼16日 ヤクルトとのオープン戦(神宮)に捕手で出場し、右越え2ラン。

 ▼21日 右肩痛が再発し、開幕2軍スタート。

 ▼4月26日 キャッチボールを再開。同時期に本格的な捕手練習を再開した。

 ▼5月25日 2軍戦にDHで実戦復帰。

 ▼28日 2軍戦で捕手復帰。打っては実戦3戦目で初の本塁打を放つ。

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