なぜ?相川 鉄砲肩でもないのに盗塁阻止率トップの秘密

[ 2012年2月3日 08:45 ]

低いリリースポイントで二塁へ送球するヤクルトの相川

 盗塁阻止の秘けつは、リリースポイントにあり。昨季、12球団トップの盗塁阻止率(・333)をマークしたヤクルト・相川亮二捕手(35)は、驚くような鉄砲肩というわけではない。相川が主眼に置いているのは、速い球を投げることより、早くボールを離すこと。そしてコントロールだ。

 浦添キャンプ2日目。シートノックで相川、中村、新田、水野の4人の捕手が二塁送球を繰り返した。リリースポイントの位置を比較すると、相川の位置は明らかに、低い。肘が下がり、サイド気味に柔らかく投げる。その理由について「強い球を投げるつもりはない。できるだけ早く球を離す。それだけ。そのために無駄な動きを削っていったらこの位置になった」と言う。

 捕球してから二塁に送球するまでにかかる時間は、腕を上まで持ち上げるより低い位置で離す方がコンマ何秒とはいえ、速くなる。相川の二塁送球の到達時間は、速い時は1・7秒台をマークする。2秒を切れば一流と言われる世界だ。リリースの位置が最も高い水野は「相川さんのリリース位置には気付いています。でも一度フォームが固まってしまうと、修正するのが怖いんです」とその技術に感嘆する。

 さらに、二塁送球の軌道は一直線ではない。サイド気味で投げることでシュート回転のボールを投げやすく、走者が走ってくる一塁方向への軌道は野手にとってもタッチしやすい。リリースの速さと抜群のコントロールこそが、相川がライバルを圧倒する理由だ。

 ヤクルトの捕手と言えば、古田敦也氏もサイド気味からのリリースで、現役18年間で10度、リーグ盗塁阻止率No・1を誇った。中西バッテリーコーチは「古田に似ているかな。一つ言えるのは、肩が強いのとスローイングが良いのは一致しないということ」と証言する。円熟の域に達しているスローイング技術。相川に遠投距離を聞くと「知りません。だって(本塁から二塁までの)約38メートル先まで球が届けばいいんですから」と笑った。

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2012年2月3日のニュース