「動の大谷」「静の村上」 動作解析のスペシャリストが日米のスターの打撃を分析
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プロ野球とメジャーで、それぞれ話題を集める2人の長距離砲がいる。ここまで51本塁打で令和初の3冠王も視野に入れるヤクルト・村上宗隆内野手(22)と、二刀流ながら昨季46本塁打で今季も30号を記録するエンゼルス・大谷翔平投手(28)だ。同じ左打者で相違点や類似点は多く、筑波大野球部監督で動作解析のスペシャリストでもある川村卓准教授(52)が「静の村上」、「動の大谷」などと分析した。(構成・鈴木 勝巳)
【相違点】同じ左打者ですが、もちろん2人に違いはあります。まずは打席での下半身の使い方。村上選手は軸足である左足に体重を残し、ボールを引きつけて打ちます。一方の大谷選手は投手に近い右足に体重を乗せる、という動きがある。軸足の左膝を右足の方に引き寄せるのです。
この動きによって両者に対照的な「静」と「動」が生まれます。村上選手はボールが来るのを静かに待って獲物をとらえる。大谷選手は自ら動いて、振れるボールは自分から振ってつかまえにいきます。投手側に体勢を崩されながらも本塁打を打てるのはこのためです。対する村上選手は、前で拾っての本塁打はほとんどありません。泰然自若として待つ。対照的なムーブで、それぞれの凄みだと思います。
スイング軌道にも違いがあります。トップからインパクトまで、村上選手は上からボールを叩きつぶすイメージ。大谷選手は下から、アッパースイング気味にかち上げていきます。これが逆方向への本塁打を量産できる要因の一つでもあります。下から振り上げるのは「フライボール革命」の影響もあるのでしょう。メジャーでも独特の位置に達しているのは大谷選手の方でしょうか。村上選手はオーソドックスで、同じようなタイプはメジャーの世界にも多くいます。
【類似点】ただ、このスイング軌道には同時に似ている点もあります。それがスイングアーク(Arc=弧)。2人ともインパクトまでのアプローチは対照的ですが、ボールをとらえてから振り抜いた後にバットがグッと上に上がって大きな弧を描く。このスイングアークが非常に似ています。これは長距離打者に特有で、パワーがないと難しい。大谷選手はもちろん、村上選手も中堅から逆方向に大きな打球を飛ばしますが、それはこの「弧」があるからこそ可能になります。
このスイングもそうですが、2人の打撃を客観的に見ていると、誰かに教えてもらってつくり上げた、というイメージは湧きません。もちろん、これまでの野球人生でさまざまなアドバイスを受けてはきたでしょうが、己の考えでそれぞれの打撃フォームを築き上げてきたのではないでしょうか。両者ともに、しっかりとした打撃の「信念」を持っている。現代野球ではデータや計測機器なども整っています。自分たちで考えて、つくり上げる。そこが新しいなと感じます。
では、どちらが優れているのか。日本とメジャーという舞台が違うので、比較は非常に難しい。ともにそれぞれのフィールドで、突き抜けたレベルに到達していることだけは間違いありません。
【結論】本塁打の飛距離はまさに互角です。村上選手が大谷選手を上回っている部分は、右翼方向に引っ張った打球です。ファンの皆さんにも「確信歩き」でおなじみですが、豪快そのものの打球。これは鋭いボディーターンから生み出されます。内角球に対してもうまく腕を畳んで、体の回転で打つ。回転が鋭ければファウルにもならず、これはホームラン打者として本当に優れた技術です。
一方の大谷選手は下からかち上げるため、引っ張った打球がファウルになったり、ラインドライブがかかる傾向があります。ただ、左手の理想的な使い方をしているのは大谷選手でしょう。いわゆる「押し込み」ですが、これによって逆方向に大きな打球を飛ばすことが可能になります。
メジャー独特の低めの速くて動くボールを本塁打にできる確率も、現状では大谷選手の方が上でしょう。低めの球をホームランになる角度に持っていくのは非常に難しい。これは日米の投手の違いでもありますが、村上選手は低めは見極めるイメージ。手は出しません。
ホームラン打者としての条件、魅力を兼ね備えた両者。優劣はつけられません。村上選手にはぜひ、残り22試合で9本に迫っているシーズン60本塁打を目指してほしいと思います。
◇川村 卓(かわむら・たかし)1970年(昭45)5月13日生まれ、北海道出身の52歳。札幌開成では主将で3年夏に甲子園出場。筑波大でも主将を務めた。卒業後は浜頓別高で監督となり、00年から母校・筑波大野球部の監督に就任。大学では准教授も務め、コーチング学や野球方法論を専門分野とし、動作解析の第一人者でもある。
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