【大畑大介 レジェンド展望】「縦攻撃」ロシア封じへ 鍵はキック処理

[ 2019年9月19日 09:00 ]

ラグビーW杯2019 1次リーグA組   日本ーロシア ( 2019年9月20日    味スタ )

6日の南ア戦、ハイパントの処理で後手に回る松島(右)
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 テストマッチのトライ数世界記録保持者で、日本人2人目のワールドラグビー殿堂入りした大畑大介氏(43)が、日本戦の見どころを語る「レジェンド展望」がスタート。まずは開幕戦のロシア戦のカギに挙げたのは、キック処理。初の8強入りのために「弱みを見せるな」とエールを送った。

 ◇南ア戦で課題露呈

 キック処理が最大のポイントだ。6日の南アフリカ戦は、徹底的に空中戦を仕掛けられ、7―41と完敗する一因になった。ハイボールに苦戦した反省を踏まえ、バックスリー(WTBとFB)が、さまざまなキックにどう対処するか。WTBレメキ、松島、FBトゥポウは、誰が捕って、誰がカバーに入るのか。一手先、二手先を読みながら、連係を取ることが重要になる。

 ロシアの攻撃のパターンは、そんなに多くない。キックで敵陣に入り、強みであるFWを前に出す「縦」の戦術だ。展開する「横」の攻撃は少ない。ジャパンは、世界トップのFWを持つ南アフリカに、ダブルタックルで対抗した。同じように体を張れば、いくらロシアの当たりが強くても、的が絞りやすい分、脅威ではない。

 相手のキーマンは、足技が光るSOクシナリョフと控え司令塔のガイシン。注意すべき選手は、昨年11月に32―27で辛勝したときと同じだ。蹴られたボールを落ち着いてキープできれば、相手の攻撃の芽を摘める。

 口酸っぱくキックを鍵に挙げるのは、長い戦いを見据えてだ。南アフリカ戦で露呈した弱点を修正できれば、アイルランド、サモア、スコットランドへのメッセージになる。逆にキックのもろさを見せれば、つけ込まれる。不安がないことを見せることが大事だ。

 ◇心強い控えの選手

 繰り上がり出場のロシアは欧州予選で一度死んだ身。気持ちで受けに回れば、南アフリカが日本に敗れたように、やられる可能性はある。その点、経験豊富なロックのトンプソン、フランカーのツイ、SH田中が控えにいるのは心強い。万が一に備えるジョセフHCの狙いが見て取れる。

 ◇列島一丸ムードを

 ジャパンに求められるのは、4トライ以上のボーナス点を取って勝つこと。ジャパンのラグビーは面白い。応援しよう。列島にそんな雰囲気ができれば、初のベスト8入りを後押ししてくれるはずだ。(ワールドラグビー殿堂入り、W杯2019アンバサダー)

 ≪トゥポウ空中戦任せろ≫FBトゥポウがハイパントの処理に自信を見せた。「ハイボールをしっかりキャッチしたい。それと、(SO)田村をできるだけ助けて、攻撃のスペースを空けられるようにしたい」。1メートル88の長身。WTB2人が1メートル70台だけに、空中戦でかかる期待は大きい。ロシアが得意とするキック戦術を思い通りにはさせない。

 ◆大畑 大介(おおはた・だいすけ)1975年(昭50)11月11日生まれ、大阪市出身の43歳。東海大仰星―京産大を経て神戸製鋼入り。類いまれなスピードと運動神経を持つWTBで、神戸製鋼では2度の日本一に貢献。フランス1部でもプレーした。99年、03年のW杯に出場。テストマッチ通算69トライは世界記録。16年にワールドラグビー殿堂入り。日本代表58キャップ。現役時のサイズは1メートル76、82キロ。神戸製鋼のアンバサダーも務める。
 

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