稀勢、八百長に揺れた角界の救世主「満員御礼」立役者 次代スター探しが急務

[ 2019年1月10日 10:00 ]

緊急連載 和製横綱・稀勢の里散る(上)

15日、現役最後の土俵入りをする稀勢の里(撮影・島崎忠彦)
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 日本出身19年ぶりの横綱だった稀勢の里が惜しまれながら土俵を去る。和製横綱の歩みを振り返り、3回に渡って角界への影響を考える。

 稀勢の里は、追い詰められた角界の人気回復を担う運命にあった。大相撲が八百長問題に揺れた2011年。ファンの心は土俵から離れた。春場所は中止。夏場所は技量審査場所と名を変えた。観客動員は年4場所開催となったこともあり、前年比マイナス25万人の約35万人に激減した。

 同年九州場所後に決まった稀勢の里の大関昇進は、久しぶりの明るい話題だった。翌12年初場所では終盤まで把瑠都や白鵬と白熱した優勝争いを繰り広げ、ファンの目を土俵に戻す起点となった。

 12年に約58万人だった観客動員は、13年に約62万人と八百長問題以前の水準に回復。稀勢の里が初Vを飾り横綱に昇進した17年には81万人強。21年ぶりに全6場所90日で満員御礼も達成し、現在まで途切れていない。

 16年に経済産業省は「スポーツ関連産業の動向と相撲人気の行方」と題するリポートをHP上に掲載し、次のように分析している。

 「…八百長問題という不祥事と東日本大震災が重なった平成23年を底にして再び上昇基調となっていることが見て取れます。(中略)…遠藤や逸ノ城など若く個性的な力士が登場し、また、稀勢の里や琴奨菊ら久しぶりの日本人横綱誕生の期待がかかるなど、相撲人気は高まりを見せており…(以下略)」

 関大の宮本勝浩名誉教授は、17年初場所の初V直後に、稀勢の里が及ぼす経済効果を試算。1年で約22億円とはじき出した。「17年は試算に近い数字が出たと思う」と話す。一方、活躍できなかった18年以降は効果が減少したと推測し、「経済効果の観点からも稀勢の里に続くスターが必要」と警鐘を鳴らす。

 入門当時の鳴戸親方の「お金は土俵にある」という教えを守り、CMに出演しなかった稀勢の里。人気のバロメーターである指定懸賞の申し込みも3場所連続1位のまま引退。とことん相撲にこだわって角界を支えた人気力士は、代え難い存在だった。(特別取材班)

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