上級生の激しいパワハラと過重労働の看過…宝塚歌劇団、急死の女性遺族が歌劇団に謝罪と補償求める

[ 2023年11月10日 17:53 ]

宝塚歌劇団の劇場

 宝塚歌劇団宙(そら)組に所属する女性が9月末に急死した問題で、遺族側が10日、東京都内で会見した。女性は宝塚市内の自宅マンション敷地内で亡くなっているところを発見。兵庫県警宝塚署は自殺の可能性が高いとしている。遺族側は長時間労働とパワハラが自殺に至った原因として、歌劇団と運営する阪急電鉄に対して謝罪と補償を求める考えを明らかにした。

 女性は入団7年目。劇団の通例で入団7年目は下級生のまとめ役を担う場合が多く、女性も下級生の責任長という役割を担っていたという。同期生は全体で40人で各組8人ずついるが、宙組の同期生は退団が相次ぎ、入団7年目は女性を含めて2人しかいなかった。遺族の代理人弁護士は「他の組が8人で分担している作業を女性はほとんど1人で担当し、過労の極みだった。上級生のサポートもなく、劇団もこの状況を知っていながら適切な処置をとらなかった」と厳しく批判した。

 特に過重労働を極めたのは宙組公演までの稽古期間だった。8月16日から9月29日の初日までで、女性は午前9時から午前0時まで稽古やレッスンを行った。自身のことだけではなく下級生の指導も務めなければならず、休日も公演の準備や下級生のサポートに追われ休むひまはほとんどなかったという。弁護士は「遺族によると、公演までの稽古期間中は1日3時間程度しか睡眠をとっていなかった」と報告した。

 過重労働に加え、弁護士は精神的な負荷についても言及。2年前の8月14日に、上級生からヘアーアイロンを額に押しつけられた事件が週刊誌に報道された際、女性は事件の経緯をプロデューサーに報告。しかし、今年2月に理事長が「報道は事実無根」と発表し「精神的負荷を受けた」という。その後、上級生からのパワハラが激しさを増し「うそつき野郎」「下級生の失敗はすべてあんたのせいや」「マインドが足りない」などの暴言を受け続けたという。弁護人は「過酷な労働条件、困難な状況で仕事をしているにもかかわらず、明らかなパワハラもあり、劇団は労働者の安全を怠ったといえる」と指摘した。

 遺族も会見でコメントを発表。「常軌を逸した長時間労働により娘を極度の過労状態におきながら見て見ぬふりをしてきた劇団がその責任を認め謝罪すること、そして指導などという言葉では言い逃れできないパワハラを行った上級生がその責任を認め謝罪することを求めます」と憤りの言葉を連ねた。


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