豪快、華麗10歳の舞 尾上眞秀 主演で堂々初舞台 祖父・菊五郎、叔父・菊之助を従えて

[ 2023年5月3日 05:10 ]

「團菊祭五月大歌舞伎」で初舞台を踏んだ尾上眞秀(C)松竹
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 歌舞伎俳優の尾上眞秀(まほろ、10)が2日、東京・歌舞伎座で「團菊祭五月大歌舞伎」(27日まで)の初日を迎え初舞台を踏んだ。歌舞伎俳優としての第一歩。祖父で人間国宝の尾上菊五郎(80)や、叔父の尾上菊之助(45)、市川團十郎(45)、尾上松緑(48)の「平成の三之助」ら豪華な共演陣の中、堂々の主演で、立役と女形の2役をこなし満員の観客を感嘆の渦に包んだ。

 花道から赤い小袖姿で登場すると、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。團十郎、菊之助演じる夫婦の前で「殿さま、奥方さま、なにとぞよろしゅう」と第一声。日仏ハーフとあってか、会場には通常の歌舞伎座ではあり得ないほど海外からの客も多く、座席から身を乗り出しながらその姿を眺める観客もいた。

 出演したのは昼の部「音菊眞秀若武者」。戦国時代の剣豪として知られる岩見重太郎のヒヒ退治伝説を描く作品で、眞秀の初舞台のため菊五郎自ら演出を務めた。

 女形では團十郎や菊之助とともに優雅な舞を披露。第2場では立役に一転。10人以上の役者と派手な立ち回りを見せ、松緑との一騎打ちでは堂々の見えを切った。

 かねて「全然緊張していません」と語るなど、強心臓ぶりをのぞかせていたが、母の寺島しのぶ(50)によると、前日もこの日朝も緊張している様子はなかったという。「お客さんの前で演じることが好きな子なんだなと、改めて思いました」と愛息の晴れ舞台に目を細めた。

 常々「ひーま(菊五郎)のような役者になりたい」と夢を思い描いている。「音菊眞秀若武者」はラストで菊五郎が武神として登場し、眞秀演じる若き重太郎の守護神になるという内容。現実にもリンクするような粋な演出。六方を踏んで花道を引っ込んだ眞秀。いつか音羽屋の未来を背負う、小さな背中が頼もしく見えた。(吉澤 塁)

 ≪父の死から10年、團十郎「涙があふれる」≫團十郎は昼の部「若き日の信長」にも出演。大名跡を襲名してから初の團菊祭で、父十二代目が死去してから10年の追善興行でもある。作品は祖父、父が演じ継いできた成田屋にとって大事な演目で、戦国大名・織田信長の苦悩や青春を描く物語。終演後には自身のブログに祖父の写真を掲載し「この写真を見るとなぜか涙があふれます」とつづっていた。

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