藤井王将 A級前半の山場を突破 斎藤八段に94手 1敗4人に「少しでも星を伸ばせるよう」

[ 2022年10月12日 23:56 ]

A級順位戦の4回戦で斎藤慎太郎八段と対局した藤井聡太王将(日本将棋連盟提供)
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 藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含めて5冠=が12日、地元・名古屋将棋対局場で第81期名人戦A級順位戦の4回戦に臨み、同じく2勝1敗の斎藤慎太郎八段(29)に94手で勝利した。終局は午後11時5分。

 斎藤はここ2期連続、渡辺明名人(38)=棋王との2冠=に挑み、ともに1勝4敗で敗れた名人挑戦者。藤井は10人が総当たりで9局ずつ指すA級前半の山場を、他3人と1敗で並ぶ首位で通過した。
 斎藤とは過去4勝3敗。初対戦から2連敗後、藤井が4連勝したが、前回対戦の昨年9月、棋王戦挑戦者決定トーナメントでは敗れた。戦型は7局連続の角換わりと研究者肌の両者らしく思惑がかみ合い、終盤の入口まで互角だった。

 そして67手目、斎藤から藤井陣の頭上5段目へ突きだした歩が少々甘かったようだ。「最善を指せばまだ難しい変化だったかな、と。迷ってしまった」。終局後、斎藤が悔いた緩手を藤井は見逃さない。斎藤陣の攻守の要と言えた銀へ働きかける桂打ちで主導権を握った。

 藤井には今期、谷川浩司17世名人(60)が1983年に達成した21歳2カ月での最年少名人の更新がかかる。ただ、そのチャンスは1度きり。「内容的に厳しい戦いになっている」。3勝1敗の星取りにも充足感はなく、「少しでも星を伸ばせるように頑張っていきたい」。またも1敗対決となる広瀬章人八段(35)との5回戦を見据えた。

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