「ウルトラマントリガー」 昭和の怪獣グビラの進化

[ 2021年8月6日 08:00 ]

ウルトラマントリガーと戦うオカグビラ(C)円谷プロ(C)ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京
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 【牧 元一の孤人焦点】還暦近くになってもウルトラマンシリーズを見てしまうのは、昭和の時代の懐かしい怪獣を今なお楽しめるからだ。7月10日にスタートしたテレビ東京系「ウルトラマントリガー」(土曜前9・00)の同31日放送では「ウルトラマン」(1966年~67年)の深海怪獣グビラを進化させた古代地底怪獣オカグビラが登場した。

 グビラは容姿が面白い。丸みを帯びた体形で四足歩行。魚類と爬虫(はちゅう)類を混ぜたような感じで、最大の特徴は頭部にドリルがついていることだ。生物の体から突き出た工事機器…。恐ろしいと言うより、どこか滑稽で、笑いさえ誘う。こんな奇抜な怪獣をよく作り出したものだと思う。

 姿形を考案したのは、昭和の時代に活躍したデザイナーの成田亨さんだ。成田さんはシリーズ第1作「ウルトラQ」(1966年)の途中から怪獣のデザインを担当し、第2作「ウルトラマン」では主人公をはじめ、ゴモラやバルタン星人、レッドキング、ゼットンなどの名キャラクターを世に送り出した。

 「ウルトラマン」にグビラが登場したのは、1966年12月25日放送の「海底科学基地」の回。日本の近海に現れ、ウルトラマンとの戦いでは、八つ裂き光輪をドリルで受け止めた上、はね返すという荒技を見せた。背中からクジラのように潮を吹いてウルトラマンの目をくらませるという小技もあり、戦闘シーンの面白さでも記憶に残る怪獣となった。

 最近のシリーズでは何度か登場するも主人公との一騎打ちが描かれなかったが、今作でウルトラマントリガーを相手に久しぶりに本格的な戦いを繰り広げたのが特筆すべき点だろう。

 番組の公式サイトには、オカグビラについて「海底に生息するグビラが地底で生きられるように進化したと思われる同種族。頭部のドリルで地底を突き進み、不意打ちで敵の背後に出現し、突進してドリルで攻撃して再び姿を消すドリルアタック作戦を得意とする」と記されている。実際に放送を見ると、ドリルアタック作戦にトリガーは苦戦。上空に吹っ飛ばされ、大きくジャンプしたグビラに空中で突き刺される場面もあり、愉快な戦いとなった。

 シリーズの前作「ウルトラマンZ」(2020年)にはゴモラやレッドキング、「ウルトラセブン」(1967年~68年)のキングジョーなどが登場した。今作でもさらに昭和の怪獣たちが姿を見せ、新たな戦いを繰り広げてくれることを期待しつつ、また週末を迎える。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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