エッセー「魔性ですか?」高岡早紀(上) 私生活で電動ノコギリ 「私、リカかも」

[ 2021年5月21日 08:30 ]

エッセー「魔性ですか?」を刊行した高岡早紀
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 【牧 元一の孤人焦点】女優の高岡早紀(48)が初めてのエッセー「魔性ですか?」を刊行した。

 現在の私生活や過去の結婚と離婚、子供たちへの思い、仕事の話などをつづった内容。長く言われ続けてきた「魔性の女」の称号が果たして的確なのかどうか、読む人に問う形になっている。

 その個性をよく表しているのが、私生活で電動ノコギリを購入した話。女性の間でも人気のDIYのためではなく、不要になったプラスチック製の衣装ケースを切り刻んで普通ゴミとして捨てるためだったという。エッセーにはネット通販で買った後のてんまつが面白おかしく書かれているが、考えてみれば、東京で暮らす周りの女性の中で電動ノコギリを所持する人をほかに知らない。

 リモートでインタビューに応じた高岡は笑いながらこう話した。

 「ネットで検索して、すごくたくさんの中から選んだんですよ。大き過ぎても怖いし、小さ過ぎても怖い。とっておきの一台です。最近は、木がニョキニョキ伸びて来たので切りました。太い木を切って、ちょっと気を緩めると暴走するけれど、高枝切りバサミより使いやすいです」

 都会の一角で女性が電動ノコギリで木を切っている姿を想像すると少し怖い。高岡がドラマと映画で演じているサイコスリラーの主人公・リカをほうふつさせる部分がある。

 「リカのように赤いコートは着ていませんよ。帽子をかぶって、メガネ、マスク、手袋をしてやりました。でも、切っている人が高岡早紀だと思うと、やはり、リカ度はありますね」

 エッセーから強く感じたのは、正直さだ。女優としてのイメージを守るために隠しておいても良さそうな事柄や思いを赤裸々に明かしている。

 「ウソをつけないんですよね。自分自身もそうですし、芝居もそうです。リカという人物も本当に正直で、ウソがないんです。真っすぐ過ぎるから、ああいう行動を取ってしまう。取材で『リカとの共通点は?』と聞かれると『共通点なんてないですよ』と答えるんですけど、自分のことをいろいろと話せば話すほど『あれ?私、リカかも知れない…』と思ってしまいます」

 日々暮らしていく中で正直であり続けるのは意外に難しい。自分を守るために虚勢を張ったり、心にもないことを言ってしまったりしがちだ。正直さを貫く高岡は特殊な存在で、もしかすると、その正直さこそが魔性の源かもしれない。

 エッセー読了後に「魔性ですか?」と問われれば、答えは「はい」。今後、年齢を重ねて正直さが増し、さらに魔性度が上がることさえ予感させる。

 高岡は「結局、私は魔性だったんですね!?分かりました」とほほえんだ。(つづく)

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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2021年5月21日のニュース