「ベルセルク」作者・三浦建太郎さん急死、54歳 30年以上続く人気漫画、ファンら衝撃

[ 2021年5月21日 05:30 ]

「ベルセルク」作者の三浦建太郎さん(佐治純一氏撮影)
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 1989年から30年以上続く人気長寿漫画「ベルセルク」の作者、三浦建太郎(みうら・けんたろう)さんが6日午後2時48分、急性大動脈解離で死去した。54歳。千葉県出身。告別式は近親者で行った。掲載誌「ヤングアニマル」を発行する白泉社によると、持病などはなく「突然の発症で、何の前触れもなかった」という。1月発売の同誌での連載が最後となった。同社はアシスタントによる連載継続も含めて今後について「検討中」としたが、未完で連載終了となりそうだ。

 三浦さんは1985年にデビュー。中世ヨーロッパ風の世界を生きる剣士を描くベルセルクは89年に「月刊アニマルハウス」で始まった壮大なスケールのダークファンタジー。単行本は全40巻。海外でも広く読まれ、累計発行部数は全世界で5000万部を超える。アニメ化もされた。

 精緻で重厚なタッチで作画に膨大な時間と体力を要するため連載は不定期。完結は見通せず、関係者に「死ぬまでに、頭の中にあるものを全て描けるだろうか」と話すこともあったという。それでも先月発売のヤングアニマル最新号では、高校の同級生の漫画家・技来静也氏と対談し、完結への意欲を語っていた。盟友と「人生100年時代。健康に気を付けていけば描けるんじゃないか」と鼓舞し合い、物語が後半に入ったと示唆するような発言もあった。

 三浦さんの急死に衝撃が広がった。芸能界でもファンが多く、未完での終了が濃厚な現状にチョコレートプラネットの長田庄平(41)は「うそだ、完結するまで死ねないと思っていた作品なのに」とツイッターに投稿。flumpoolの山村隆太(36)は「三浦先生の無念さを思えば言葉にならない」とツイートした。

 ツイッターでは一時「Berserk(ベルセルク)」が世界トレンド1位に。突然の訃報に世界中のファンが悲しみに暮れた。

 ▽ベルセルク 題名は北欧に伝わる異能の戦士「berserker」に由来。舞台は中世の欧州を思わせる剣と魔法の世界。巨体の剣士ガッツが身の丈ほどもある大剣などを武器に、復しゅうの旅を続ける。壮大な世界観、悲劇的で陰惨な物語を高い画力で描き、海外のファンも多い。2002年手塚治虫文化賞マンガ優秀賞。テレビアニメ、劇場版アニメも製作された。連載30年を記念した「大ベルセルク展」が9月に開催予定。

 ▽急性大動脈解離 内膜、中膜、外膜の3層構造になっている大動脈の壁の間にできた空間に血液が流入することが原因で大動脈が裂ける病気。3層構造が壊れた大動脈は弱くなり、最悪の場合破裂する重篤な疾患。高血圧や動脈硬化などが原因。症状は胸から背中の突然の強烈な痛み。出血性ショックを起こしたり、心臓の周りに血液がたまり心臓が動かなくなるなどして血圧が急激に低下し、死に至ることも多い。発症年齢は60~70代が多いが、40~50代の若い人でも発生する。加藤茶(78)や石原裕次郎さんが発症したが、一命は取り留めている。

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2021年5月21日のニュース