「おかえりモネ」“幻想”移流霧シーンの舞台裏 天気待ちで2日 清原果耶の涙にネットもらい泣き&絶賛

[ 2021年5月21日 08:15 ]

連続テレビ小説「おかえりモネ」第5話。北上川の移流霧を見つめる百音(清原果耶)たち(C)NHK
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 女優の清原果耶(19)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は21日の第5話で、主人公の百音らがドラマの舞台・宮城県登米市を流れる北上川に「移流霧(いりゅうぎり)」を見に行く幻想的なシーンが放送された。霧が百音の記憶や感情を呼び起こし、秘めた胸の内を吐露する重要な場面。昨年秋に行った宮城ロケで実際に霧と朝日が出るのを待ち、2日かかったという撮影の裏側を清原に聞いた。台詞は少ないものの、表情で雄弁に語る清原の演技に涙する視聴者も相次ぐなど、SNS上で反響を呼んだ。

 <※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算104作目。清原とタッグを組んだNHK「透明なゆりかご」などやテレビ東京「きのう何食べた?」などで知られる安達奈緒子氏氏が手掛けるオリジナル作品。朝ドラ脚本初挑戦となった。タイトルにある「モネ」は主人公・永浦百音(ももね)の愛称。1995年に宮城県気仙沼市に生まれ、森の町・登米(とめ)で青春を送るヒロイン・百音が気象予報士の資格を取得し、上京。積み重ねた経験や身につけた技術を生かし、故郷の役に立ちたいと奮闘する姿を描く。

 第5話は、雨も上がり「登米能」の定例会が無事に開催され、百音(清原)はサヤカ(夏木マリ)の奏でる笛の音や普段と全く違う雰囲気で能舞台に立つ翔洋(浜野謙太)の姿に感動し、圧倒される。定例会後、サヤカが百音の祖父・龍己(藤竜也)に電話で百音の様子を伝えていると、龍己は電話越しの百音の楽しそうな声に驚く。翌日、気象キャスター・朝岡(西島秀俊)が希望し、百音たちは北上川に“ある光景”を見に行く…という展開。

 登米出身の漫画家・石ノ森章太郎さんの原画展とともに、朝岡が「本当はもう1つ、見たいものあったんですけど。明日の朝」と希望したのが「移流霧」。温かく湿った空気が冷たい地面や海面に移動する際、下層から冷やされて発生する霧のこと。初夏の北海道・釧路沖や根室沖、東北の三陸沖が有名といわれる。

 車中からの景色に、朝岡は「北上川の移流霧は、とても幻想的だと聞いていたんですよ」。百音も「凄い…。雲の中にいるみたい」と感嘆の声を上げた。

 車を降り、霧を見つめる百音たちを朝日が照らす。百音の脳裏には、3年前(2011年)に発生した東日本大震災の記憶がよみがえる。

 「私の地元、気仙沼の海にも冬になると、けあらしっていう霧が出るんです。これと凄くよく似た風景が、港に広がるんです。私、そのけあらしを見るのが小さい時からとても好きで。(涙がこぼれ)(3年前の回想)でも、あの日、私、何もできなかった…」。朝岡は「霧は、いつか晴れます」と声を掛けた。

 北上川に向かう車中からの幻想的な霧、車を降りて霧を見る清原の表情と佇まい、清原と西島を真横から収めるカメラワーク、北上川と清原たちがいる橋を雄大に捉える空撮。約4分半、第1週屈指の名シーンとなった。

 昨年秋に宮城ロケを行い、このシーンは撮影に2日要した。清原は「天気がドラマの説得力を増すアイテムになっています。このシーンは霧も朝日も必要で、1日目は曇っていて太陽の光が差し込まなかったり条件が満たされず、再撮になりました」。翌日午前5時頃から霧と朝日が出るのを待ち「みんなで『どうしても、いいシーンが撮りたいよね』と粘ってよかったなぁと思うシーンに仕上がりました。朝日が完全に出てしまう前、ギリギリを攻めた撮影でした」と手応え。ロケ別日に既に霧自体は目にしていたが「そのシーンの空気感で見た霧は、言葉にするのが難しいぐらい違ったものに感じました」と振り返った。

 SNS上には「モネちゃんのあふれる透明な涙に誘われて泣いた」「モネと一緒に移流霧を眺めている気持ちになり、涙があふれていました」「モネちゃんの涙にもらい泣きしちゃいました。今日お休みでよかった。モネちゃんの心の霧が晴れますように」などの声が続出。

 「つかみと情報の配置が絶対条件の朝ドラ第1週から、ほとんどセリフなしで景色とヒロインの瞳で物語を語る数分を作るって、かなり攻めてるし、もう制作の清原果耶に対する信頼がもの凄いし、私、思うツボのごとき号泣ですよ」「日の出のシーンの表情と涙は、清原果耶という女優の非凡さが集約されていた。初週5回を見た感じではSS級の傑作になりそうな予感。今週は朝ドラ史上でも最も外ロケが多かったかも。これから半年、爽やかで元気で美しい朝になりそうであります」「霧を綺麗だと思って見ていた目が気仙沼のことを思い出した瞬間スーっと光を失って、朝日のことを呟いた瞬間に涙が膜を張って、あの日に言及して涙がポロって落ちる。表情は変わらない。こんな緻密な演出をアニメでもマンガでもなく生の人間がワンカットでこなすって、どうゆうこと…と思いました」などと清原の演技力を絶賛する声も相次いだ。

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