田中邦衛さん、素顔はきまじめでシャイ 長女はNHK勤務

[ 2021年4月2日 18:57 ]

田中邦衛さん
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 映画「若大将」シリーズ、フジテレビドラマ「北の国から」などで活躍した俳優の田中邦衛(たなか・くにえ)さんが3月24日午前11時24分、老衰のため死去した。88歳。岐阜県出身。 

 田中さんは1955年に3度目の受験で俳優座養成所に合格した。同期(7期生)には井川比佐志(84)、露口茂(88)、山本學(84)、水野久美(84)らがいる。73年に退座。しばらく作家の安部公房氏と行動を共にした後でフリーに転じた。

 57年に今井正監督の「純愛物語」で映画デビュー。61年に加山雄三(83)主演の「大学の若大将」で演じた青大将が好評で、シリーズにレギュラー入り。アクの強い風貌と、どこか憎めないコミカルなキャラクターで愛された。

 65年にスタートした映画「網走番外地」シリーズでは高倉健さん扮する主人公を慕う舎弟を演じ、当たり役の一つとした。この共演をきっかけに生涯、健さんを慕い続け、「夜叉(やしゃ)」などで共演を重ねた。67年にはフジテレビのドラマを映画化した「若者たち」で第22回毎日映画コンクールの男優主演賞を受賞した。

 73年からの「仁義なき戦い」シリーズではずる賢いヤクザ、槇原政吉を怪演して新境地を開いた。

 映画だけでなくドラマでも活躍。81年にスタートした「北の国から」の父親・黒板五郎役は最大のはまり役になった。倉本聰氏(86)の脚本、杉田成道氏(77)の演出で、02年までスペシャル版が制作され、ドラマ史に大きな1ページを刻んだ。

 きまじめでシャイ。トーク番組からの誘いも極力断ることで有名だった。98年11月に山形在住の映画パーソナリティー荒井幸博(63)の強い要請に応えて夫人同伴で出向き、初めて天童市でトークショーに臨んだ。地元民の熱烈歓迎に感激し、それ以来、何度も山形を訪れていた。07年には「田中邦衛映画祭」も米沢市で開催された。09年には故郷の岐阜県瑞浪市と千葉県柏市でも荒井とトークショーを開き、翌10年には荒井と一緒にテレビ東京の旅番組「いい旅夢気分」に出演した。99年に紫綬褒章、06年に旭日小綬章。

 長女の田中淳子さん(56)はNHK初の女性海外支局長(シドニー、のちワシントン)として活躍し、17年3月まではBS1「国際報道2016」のメーンキャスターを務めた。現在はNHK広報局長を務めている。

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