芝野虎丸八段、19歳11カ月で名人奪取 10代初の7大タイトル保持者に!

[ 2019年10月9日 05:30 ]

新名人に輝いた芝野(撮影・我満晴朗)
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 囲碁の第44期名人戦7番勝負の第5局は7、8の両日、静岡県熱海市で打たれ、挑戦者の芝野虎丸八段(19)が張栩(ちょう・う)名人(39)を破り、4勝1敗で名人を奪取、10代初の7大タイトル保持者となった。最年少19歳11カ月の獲得で、2009年に井山裕太4冠(30)が達成した20歳4カ月を10年ぶりに塗り替えた。25日に開幕する王座戦では、井山と直接対決する。

 熱戦を終えたばかりの対局室で、金字塔を打ち立てた新鋭は答えに窮していた。

 「そうですね。う~ん。よく分からないですけど…。よく分からないです」

 ぼくとつな答えは消え入るような声。いくつかの質疑を繰り返した後、ようやく19歳らしい笑顔が広がった。「終盤まで何が起こるか分からなかったのでホッとした」「(終局後)人が凄い入ってきたので名人を実感しました」。徐々に湧き起こる喜びを吐露した。

 10代での獲得は、7大タイトル同時制覇を2度達成した井山裕太4冠も成し遂げられなかった偉業だ。2008年、19歳で名人に挑戦したが、相手は今回の芝野と同じ張栩で涙をのんだ。芝野はこの日、終盤で好手を放ち、252手で白番中押し勝ち。対局中はポーカーフェースで、鋭い読みと独創性を披露した。

 7大タイトル初挑戦だった。プロ入りから最速の5年1カ月で奪取し、許家元八段(21)が昨年の碁聖戦で記録した5年4カ月も上回った。規定によりきょう9日付で九段に昇段、日本棋院によると、最年少、最速での最高段位到達となる。

 祖母が付けてくれた名前通り、剛と柔の一体が武器。芥川龍之介ファンの祖母が兄に「龍」を付け、対比として弟に「虎」を入れた。柔らかい雰囲気を出すように「丸」も入った。井山は「誰と打っても物おじしないし、動じない」と感心する。世界のトップ棋士たちを相手にしても引かないメンタルの強さが長所だ。

 小学3年のころから兄・龍之介二段(21)と一緒に囲碁の道場で本格的に勉強を始め、小学5年でプロ養成機関へ、14歳でプロの世界へ。自身の強さについて問われた芝野は「楽しく打てるようになった」と明かす。以前は負けて悔しいという感情だったが「実力だから」と割り切れるようになった。この日タイトルを奪われた張栩も「芝野さん、強かったと思います」と舌を巻いた。

 25日の井山との対局。「今回のタイトルが自信になったので、いい状態で臨めると思います。(今後は)井山先生のようにどんどんタイトルを獲っていきたい」。頼りなさげな表情と勇ましいコメントとのギャップに令和の大物感が漂っていた。

 ◆芝野 虎丸(しばの・とらまる)1999年(平11)11月9日生まれ、神奈川県出身の19歳。八段。2014年9月、14歳でプロ入り。1年目の15年に39勝9敗(勝率.813)で日本棋院勝率1位賞受賞。プロ入り後2年7カ月で七段昇格は最短記録。兄との共著でAI搭載ソフトの対局を解説した「アルファ碁zeroの衝撃~竜虎VS最強AI」(マイナビ出版)を出版している。

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