「PARTY」終わっても面白いジャンプのデジタル戦略

[ 2018年5月21日 11:20 ]

「ジャンプPARTY」終了告知ページ
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 週刊少年ジャンプ(集英社)の漫画100作以上、計2万話以上が無料で読めると話題になったスマホ漫画サイト、スマホ漫画アプリの「ジャンプPARTY」が11日、終了した。

 3月5日からの2カ月限定企画。利用者は100万人を超え、読まれた話の総数は2553万8756。最も多い人は2909話を読んだと発表された。

 記者も約650話(31作品)を読んだ。当初は過去の名作ばかり読んでいたが、いつの間にか現在ジャンプ本誌で連載中の「ブラッククローバー」や「火ノ丸相撲」「ハイキュー!!」「鬼滅の刃」なども結構な話数を読んでいた。今は終了が寂しい限りだ。

 今さらながら説明すると「ジャンプPARTY」は、漫画1話を読むのにチケット1枚が必要で、チケットはサイト内のパズルゲームなどで毎日10枚以上を無料入手できた。

 妙案と思ったのは、過去作を読む際に必要なアイテム「解放玉」。過去作は大体10話以降が、5話ずつセットで“封印”されており、解放玉でそれを解いてからチケットを使う手順になっていた。

 この解放玉を入手するために必要なのは、本紙で連載中の“現役作”を読むこと。つまり、過去作を読むために、それに近い数の現役作を読ませる仕掛けがあった。解放玉ほしさに読み始めた作品が、いつの間にか純粋に読みたい作品に…サイト内のチャットを見ると、そんな読者も多かったようだ。

 ジャンプPARTYは同誌の創刊50年を記念した読者サービス企画だが、あらゆる年代の読者の目を“今のジャンプ”に向ける戦略が感じられた。

 同じ紙媒体で働く者として、ジャンプのデジタル戦略は気になるものが多い。先日、トークイベント「ジャンプのミライ」に参加する機会があり、同誌が手掛けたアプリについて聞いた。

 中でも画期的なのはweb漫画投稿アプリ「ジャンプルーキー」。投稿者に作品のページビュー(PV)による広告収入の全てを還元し、人気作はジャンプ本紙デビューも検討される。漫画家の卵にとってはデビューの新たな入り口となり、業界の新人発掘の構造を変える可能性もある。

 従来のジャンプの守備範囲を超え、青年漫画や少女漫画、大人の女性向けの漫画も投稿を受け付けてもいる。担当者の「全てのweb漫画投稿者と出会いたいから、このアプリを作った」という貪欲すぎるコメントが印象的だった。

 他にもジャンプ漫画の素材を手本に漫画を描ける「ジャンプPAINT」や、電子コミックを他ユーザーと共有、交換できる「マワシヨミジャンプ」(開発中)など興味深いものばかりだった。

 もちろん、それらのアプリを含むデジタル戦略が必ず成功するとは言えない。だが「漫画の次の時代を切り開く」という熱量、繰り出す手数、足取りの力強さには引きつけられるものがある。

 中野博之編集長は「元々ジャンプは漫画誌では後発で、何でもやってきた。いろいろやって怒られたら考えたらいい」と創刊以来の挑戦者魂を強調。その上で「逆行するかもしれないが、紙の売り上げを伸ばしたい」とまで話した。

 もう、ジャンプ編集部自体が何かの漫画ではないかと思えるほどで、漫画好きとしては次の展開を楽しみにしている。(岩田 浩史)

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