段位を語らず

[ 2018年5月21日 09:30 ]

竜王戦ランキング戦5組の準決勝で勝利し、史上最年少の15歳9カ月で昇段し笑顔の藤井聡太七段
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 【我満晴朗のこう見えても新人類】原稿を書く際、パソコンの予測変換機能には大変お世話になっている。最初の数文字を打ち込むだけで、候補列が10個前後も出現するのだから便利だ。あとは該当する文言を選択しエンターキーを押すだけ。楽勝。

 で、筆者の使うパソコンに「ふじい」と打った瞬間、第1候補は常に「藤井聡太四段」となる。ここ1年以上、それだけ使用頻度が高かったということだ。おかげでいつも冷や冷やしている。気を抜くと四段のまま送稿してしまうからだ。えっと、今は何段だっけ?昇級スピードが速すぎるので、付いていけない。

 その藤井聡太四段。もとい五段。いや六段。じゃなくて七段。このままでは年内にも八段に届かんばかりの勢いだが、実際はここからが厳しい。日本将棋連盟の規定によると、七から八の昇段条件は…

 (1)竜王位1期獲得

 (2)順位戦A級昇級

 (3)七段昇段後公式戦190勝

 以上のいずれかだ。(2)に至るにはあと3年は絶対に必要だし、(3)だって年間60勝前後ペースでもやはり3年はかかる。理論上では(1)が最短となるが、挑戦者になり、なおかつ羽生善治竜王を7番勝負で下す必要がある。実際問題としてかなり難しいというのが実情だろう。

 昇段の話題を追うよりむしろ、あと3勝で挑戦権を獲得する王座戦に期待をかける方が現実的かもしれない。史上最年少タイトル挑戦に続いて中村太地王座を破れば、向こう1年間「王座」を名乗ることができる。こうなると段位の表記は必要ない。「今何段だっけ?」と迷うこともなくなる。

 と、ここで思い出した。羽生竜王の前例だ。1985年に四段昇段後、とんとん拍子に出世街道を歩み、六段だった89年には初挑戦で竜王位を獲得。以降現在まで、常になんらかのタイトルを保持しているため、段位を名乗ったのは六段が最後だったというエピソードだ。

 厳密に言うと90年11月27日の竜王戦第5局で失冠し、翌91年3月18日の棋王奪取まで約3カ月半は「無冠」だった。当時七段。ところがこの間は「前竜王」の肩書だったため、結局のところ「羽生七段」も幻の呼称だった。

 藤井七段も一度タイトルを奪ってしまえば、同じ道を進む可能性がある。昇段うんぬんを超越した楽しみではないだろうか。

 王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦を突破している藤井の次の相手は、その羽生と深浦康市九段の勝者だ。対局は5月24日。こちらの結果も大いに気になっている。(専門委員)

 ※なんとも絶妙なタイミングだが、このコラムがアップされた5月21日、日本将棋連盟は八段への昇段規定に「タイトル二期獲得」を追加した。これにより昇段条件はやや緩和されたものの、藤井七段にとって今年中の八段昇段は竜王位奪取が絶対条件で変わりない。

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