救援失敗につらい思いのゲラと岩崎だが…すぐに巡ってくる次の登板へ「心のスタミナ」も不可欠

[ 2024年5月27日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神1-2巨人 ( 2024年5月26日    甲子園 )

<神・巨>延長10回、勝ち越しを許した岩崎(撮影・大森 寛明)
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 【畑野理之の談々畑】2人とも少しうつむき加減でロッカーへ歩を進めた。1―0の9回に岡本和真に同点ソロを打たれたハビー・ゲラと、10回に1死一、三塁から丸佳浩に決勝の中犠飛を許した岩崎優。そろって「次、頑張ります」という短いコメントだったが、そりゃあ、つらいに決まっているよな、と心情を察してしまう。

 相手があることなので打たれることは必ずある。安打されたシーンを振り返り、こうすればよかった、次はこうしようなど反省も後悔もあるが、先発した才木浩人の勝利投手の権利を奪ってしまったことが頭をよぎった時に最も心が痛くなるに違いない。才木はスコアレスのまま菅野智之と堂々と渡り合い、リーグ単独最多の6勝目をつかむ寸前だった。ゲラも岩崎も自身の成績が下がることは我慢できても、チームの勝利、そして同僚の白星を消したことは申し訳ない気持ちでいっぱいのはずだ。

 それが9回を任された守護神の宿命なのだが、すぐにまた次の登板に備えなければならない。阪神は、あす28日から日本ハム3連戦で交流戦がスタートする。先発投手は仮に一度打たれても中6日のローテーションがあり切り替える時間はある。しかし、リリーフ陣は誰かの白星を背負って翌日にはマウンドに立つ時もある。一年間やり切るには体のスタミナ同様、心のスタミナも大事だ。

 阪神とオリックスのOBで、先発もリリーフも経験している能見篤史氏(本紙評論家)は著書『能見さんの美学』でこう述べている。

 「先発とリリーフを両方経験して言えるのは、リリーフの方がしんどいということです」

 「先発投手が懸命に抑えている姿、野手が必死に1点をもぎ取る姿をみていれば、それぞれの思いも伝わってきます」

 「一番こたえるのは、やはり先発投手の勝ちを消してしまったとき。終わったことだと思おうとしても、そのピッチャーの顔が浮かんでくることもあります」

 ゲラは24試合目の登板で8セーブ、12ホールド。岩崎は22試合目の登板で8セーブ、7ホールド。ダブルストッパーの同日失点は今季初めてだという。守護神は簡単に抑えた時よりも、失敗した時の方がクローズアップされる。勝敗に直結するので、責任感とプレッシャーとうまく付き合っていかなくてはならないのだなと改めて思った。

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