日本ハム・中島に映る“35歳の影” 2016年に届いた忘れられない一通のメール

[ 2024年5月27日 08:00 ]

日本ハム・中島
Photo By スポニチ

 8年前の2016年夏頃。当時25歳だった日本ハム・中島卓也内野手(33)の下に、一通のメールが届いた。「お前、俺に負けんなよ。抜くぞ!」。送り主は当時35歳だった田中賢介内野手(43=現・スペシャルアドバイザー)。9学年上のベテランに盗塁数で僅差に迫られており、中島は追い込まれていた。

 「やべーと思って。負けられんと思った」

 中島にとって田中は同郷・福岡の先輩であり、同じ右投げ左打ちの内野手。入団時から憧れの存在であり、2011年オフからは宮古島で合同自主トレを行う師と仰ぐ先輩だった。「師匠というか偉大すぎる、尊敬する先輩。野球以外の面でも本当にお世話になった」。そんな先輩にハッパをかけられては、走らない訳にはいかなかった。

 同年、2人はデッドヒートを繰り広げた。8月24日、田中が中島の20盗塁に並ぶ。9月1日に中島は22盗塁目を決めるも、同10日には再び田中が追いついた。中島の脳裏に前述のメッセージが浮かんだ。9月15日のオリックス戦(札幌ドーム)で23盗塁目を決め、1盗塁差で先輩に勝利し「何とか意地で勝てたよね」と当時を振り返る。

 ただ、素直に喜べなかったのを覚えている。「1個しか勝っていない。俺と年9個も離れているからね。それで22個でしょう?逆に23個しか走っていないんだと、若い俺が走らないといけないと思ったよね」と中島は言う。あれから8年たった今でも、35歳で走り続ける先輩の影があるから、自分を戒められている。

 今月21日のオリックス戦で中島は田中の通算盗塁数203を抜いた。「盗塁は抜きたいと思っていた。他は抜けないと思うので」と笑った。現在4盗塁で、チーム2位6盗塁の五十幡とは2差。今度は、若手にハッパをかける立場となっている。(記者コラム・清藤 駿太)

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年5月27日のニュース