DeNA・ドラ1松尾「勝てる捕手になりたい」中村武志氏、新旧ドラ1捕手対談で星野さん同じ言葉に鳥肌

[ 2023年2月21日 05:00 ]

松尾の後ろに立ち「ストラ~イク!」とポーズを決める中村氏(撮影・島崎 忠彦)
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 最大の目標は勝てる捕手――。強肩強打の捕手、DeNAのドラフト1位・松尾汐恩捕手(18=大阪桐蔭)と、本紙評論家の中村武志氏(55)の対談が実現した。中村氏も花園(京都)から84年に中日入りした高卒ドラ1捕手。10代で飛び込んだ厳しい世界への思いや、プロ1年目で経験する1軍キャンプについて、中村氏が期待のルーキーの本音に迫った。(構成・大木 穂高)

 中村氏(以下、中) キャンプで疲れているところ、ごめんね。まずは高校とプロの違いは感じている?

 松尾(以下、松) プロは環境に恵まれているなと感じますね。
 中 高校も恵まれていたでしょ?

 松 そうなんですけど、こちらの方が断然、凄いと感じました。自分が知らない(トレーニング)器具とかもあったり、グラウンドも広くて環境が整っていると感じます。

 中 私生活の面ではどう?

 松 まず、一番は自分の時間をつくれるというのが、プロになって変わったなと思います。その使い方によって自分も違ってくる。そういうところをこの何週間で感じました。オフの時間でどれだけ自分のコンディションを整えられるかが大事。高校より時間があってやりやすいなと。高校は勉強とかもあったので。

 中 俺も39年前の高卒1位だけど、意識が違うな。練習の疲れは?

 松 体力的にはもちろんありますが、そこまでではないです。高校のときの練習量も凄かったので。

 中 凄い。もう練習試合も出ているしね。高校とプロの投手の球の違いは感じる?

 松 はい、まずはコントロールです。だいたい要求通りに放ってくれるので、負けは(サインを出した)自分の責任だなと、ブルペンで受けていて感じます。スピードガンでは違いがなくても、球の質の違いも体感しています。

 中 自分もプロに入って一番感じたのはコントロールだった。俺らの時は大きなカーブとか緩急の変化が多かったけど、今の投手は小さく変化する球が多いから大変。捕球とかは普通にこなせている?

 松 最初はやはり、(球威に)差されていた部分があったんですが、だんだん受けているうちに目も慣れてきたと感じています。

 中 実戦も始まって、12日のヤクルト戦(練習試合)では村上もいた。どうだった?

 松 はい、凄かったです。もうオーラが凄いなと感じました。

 中 最初の1年は凄いなと感じるけど、対戦するわけだからね。相手の打者心理とか勉強して、どんどん参考資料を作ってもらいたいね。ところで、理想の捕手はどんなイメージなの?

 松 捕手の経験が長くないのですが自分としては“勝てる捕手”になりたいと思っているので、そこをまず第一に考えて、そこから打撃とかを考えたいです。

 中 ちょ、ちょっと待ってよ。今俺、鳥肌立った。それは俺が昭和の時代に星野仙一さん(元中日監督)に言われた言葉だよ。“打てなくても下手でも勝てるキャッチャーになれ”と。松尾君からその言葉が自然と出てきた。感動した。

 松 高校のときにバッティングとかが調子が悪くても、チームの中心でやっているんだから勝てる捕手になれと言われていました。捕手がチームの中心だから、お前が勝たせろと。

 中 驚きだよ。ところで俺に何か質問はある?

 松 キャッチャーとして、やはり勝つためにはどういった振る舞いをとか、そういうのはありますか?

 中 例えばエースを気持ちよく投げさせる。俺は(横浜時代)三浦大輔のために、自分の打席の登場曲で矢沢永吉の曲を流した。彼が大好きだし、少しでも彼の気分が良くなれば、と。

 松 壁にもぶつかりますよね。

 中 勝てないときは必ず来る。まず最初は打たれることを気にしない。抑えようとしない、かな。

 松 ありがとうございます。勝てる捕手目指して頑張りますっ!

 【取材後記】松尾君に「小学生みたいな質問ばかりするけど、よろしくね」と冗談で話しかけたら、何だか数分後には本当に自分が小学生みたいな錯覚に陥った。それだけ、高卒1年目とは思えない堂々した雰囲気を持っていた。コーチ陣に話を聞くと一様に「松尾は実戦向き」という答えが返ってきた。「実戦向き」評価はプロには重要。練習を見ていても、お世辞抜きにそう感じた。それにハンサム。「(坂東)玉三郎みたい」と言ったらキョトンとしていたけど、同じ京都出身で親近感も湧く。俺のYouTubeで、イケメン松尾を売り出そうと思う。最優秀バッテリー賞のことも知っていて「いつか獲りたい」と言っていたし、将来が楽しみで仕方ない。(本紙評論家)

 ◇松尾 汐恩(まつお・しおん)2004年(平16)7月6日生まれ、京都府出身の18歳。精華中では硬式野球の京田辺ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年秋から捕手。春夏甲子園に4度出場し、3年選抜は優勝。甲子園通算5本塁打。高校通算38本塁打。22年ドラフト1位でDeNA入団。1メートル78、78キロ。右投げ右打ち。

 ◇中村 武志(なかむら・たけし)1967年(昭42)3月17日生まれ、京都府出身の55歳。花園では甲子園出場なし。84年ドラフト1位で中日に入団。横浜(現DeNA)、楽天でプレーし、プロ通算21年で1955試合、打率.242、137本塁打、604打点。最優秀バッテリー賞2度受賞。1メートル79、90キロ。右投げ右打ち。

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