千賀 お化けフォークで3K 昨季40発男アロンソ2K「ゴーストだから見えなかった」ライブBP初登板

[ 2023年2月21日 02:30 ]

実戦形式の練習で登板したメッツ・千賀
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 This is Ghost!メッツの千賀滉大投手(30)が19日(日本時間20日)、実戦形式で打者と対戦するライブBPに初登板し、昨季40本塁打の主砲ピート・アロンソ内野手(28)から代名詞の「お化けフォーク」で空振り三振を奪った。打者6人に29球を投げ、許した安打は1本で3奪三振。キャンプ地は千賀のフォークの話題で持ちきりで、今季のメジャーを「Ghost」が席巻する勢いだ。

 練習後の会見。記者から「アロンソがフォークが全く見えなかったと言っていた」と聞かれた千賀は、にやりと笑って英語で答えた。「This is Ghost(あれがお化けフォークだ)」。ドヤ顔気味の返答で大笑いを誘った。打者の視界から消えるような鋭い落差の「お化けフォーク」は、今や「ゴーストフォーク」として完全にチーム内に定着している。

 「凄く集中した自分がいたし、楽しめた。(金メダルに輝いた21年夏の)東京五輪以来の感覚」。キャンプ初の実戦形式となるライブBP登板。打席には主軸の強打者がずらりと並んだ。昨季40本塁打、131打点で打点王に輝いたアロンソ、打率・326で昨季首位打者のマクニール、昨季107打点のリンドア。リンドアはプエルトリコ、他2人は米国のいずれもWBC代表。臆さず勝負した。

 29球を投げ、許した安打はわずか1本。3三振を奪った。外角に沈んで消えるゴーストフォークに空振り三振したアロンソは切れ味を問われ「分からないよ。ゴーストだから、見えなかったから」と脱帽。米球界でゴーストと呼ばれる愛称については「格好良いニックネームだし、確かにその通りだ。多くの空振りを奪うだろう」。マクニールも「ボールの軌道がいい。これまで見たことがない」と驚きを隠さなかった。

 球団PRのCM動画では千賀が「お化けフォークはただの球種だから。お化けじゃないよ」と日本語で捕手のニドへ訴えていた。「了解、みんな本当のお化けじゃないってよ」と同僚たちに伝えるシーンが人気を集めたが、本気の一球は「本当のお化け」となった。

 「本当に勉強になったマウンド。それなりに試合で投げる準備ができた登板だった」。ベールを脱いだ「Ghost」。球宴出場4度のリンドアも打撃練習中にそのボールに目を見張り「千賀の投球は全て見えた。フォークを除いてね。あれは“ゴースト”だから」と話してナインを笑わせた。お化けは消える。見えない「魔球」が、名刺代わりの鮮烈デビューを飾った。

 ≪“遅ろしやぁ~”時間制限に苦戦≫千賀は今季から時間短縮のために導入されるピッチクロックへの対応を課題に挙げた。投手は捕手から球を受けてから、走者なしで15秒、ありでは20秒以内に投げないと、1ボールが宣告される。「握りを変える時に焦ってしまった。この握りじゃないのに、と思いながら投げたのが5球くらいあった」と明かした。ブルペンで不安を口にしていたマウンドの傾斜には見事に対応してみせた。

 【日本人大リーガー魔球列伝】☆野茂英雄(95年ドジャース)独特のひねりを加えたフォームから直球とフォークのほぼ2球種で1年目から13勝挙げ新人王。「トルネード」旋風を巻き起こし、熱狂的なNOMOマニアが生まれた。

 ☆佐々木主浩(00年マリナーズ)1年目から落差の大きいフォークを武器に37セーブで新人王。守護神として「DAIMAJIN」が米国でも定着した。

 ☆高津臣吾(04年ホワイトソックス)米国でも珍しい横手からのシンカーで1年目から抑えに抜てき。一度浮き上がってから沈む軌道で24試合連続無失点を記録し19セーブ。「ミスターゼロ」と呼ばれた。超スローカーブも駆使。

 ☆松坂大輔(07年レッドソックス)入団前から「ジャイロボール」の使い手と騒がれ、入団会見でも投げ方についての質問が飛んだ。本人は「抜けたカットボールでは」と指摘。1年目から15勝でワールドシリーズ優勝に貢献。打ち取られた打者たちが球種について「ジャイロボールだった…」とコメントすることもあった。

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