中畑清氏 ダルは球界全体考える「野球の伝道師」

[ 2023年2月21日 05:00 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】侍ジャパンの宮崎強化合宿で「野球の伝道師」に会ってきたよ。ダルビッシュ(パドレス)。その存在感は半端じゃない。

 5人選ばれた大リーガーの中でただ一人合宿に参加。36歳はチーム最年長でもある。若手の不安を解消してあげるのが自分の役割と認識し、自らの準備をきちんと進めながら若い選手にしっかり目を配っている。

 日曜日に佐々木朗(ロッテ)の投球練習をブルペンで一緒に見た。彼はどんなアドバイスを送ればいいか考えながら目を凝らしているんだよね。メジャーのトッププレーヤーに助言をもらえるなんて、選手にとっては心強いと思うよ。

 第1、第2回のWBCでその役回りを果たしたイチローさんは現在、マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めながら、日本の高校球児を指導して底辺拡大に尽力している。こういう人こそ2004年アテネ五輪の長嶋茂雄監督が選手に求めた「野球の伝道師」なんだろうな。

 イチローさんに続くのがダルビッシュ。そんな話に水を向けたら「僕のようなヤツでも、そういう役割がこなせたらいいですね」。謙虚なんだよね。若い頃はやんちゃなイメージもあったけど、凄く大人。球界全体のことを考えている。

 自身の調整については「練習では40球以上は絶対に投げない」って。私たちの時代の日本じゃ投げ込み、走り込みが定番だったけど、メジャーにはメジャーのスタイルがある。その調整法を前提として、新たに42歳までの6年契約を結んだんだからね。今後どんな足跡を残してくれるか注目したいけど、まずは今回のWBCだよね。

 ほかに大谷(エンゼルス)、山本(オリックス)、佐々木朗といる豪華な先発4枚を1次ラウンド4試合にどう振り分けるか。私としては初戦の中国戦は日本のエースとして山本で行き、続く韓国戦は大谷。ダルビッシュは4戦目のオーストラリア戦で投げて準決勝、決勝に備えてもらいたい。

 栗山監督はどう考えているか。いずれにしても一発勝負になる準々決勝以降は、状態のいい投手を優先的に投入していってほしいな。(本紙評論家・中畑 清)

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2023年2月21日のニュース