【スポニチスカウト部(3)】横浜・緒方漣 走力高め プロの高みへ

[ 2023年2月21日 15:17 ]

21年、1年生で出場した夏の甲子園の広島新庄戦で9回に逆転サヨナラ3ランを放ち“ミラクルボーイ”となった横浜・緒方漣
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第3回は神奈川の名門・横浜で、夏の甲子園に2度出場を果たした緒方漣主将(2年)。高校トップクラスの守備力を備える遊撃手に注目が集まる。 ドラフト速報

 プロ志望届を出すべきか否か。緒方の思いは揺れている。新チームの主将として挑んだ昨秋は神奈川県大会を制し、関東大会8強。選抜出場の可能性を残し「選んでいただいた時には汚名返上したい」と意気込んでいたが、1月27日の出場校発表日に「横浜」の名は呼ばれなかった。高校生は春に進路を決断することが多いが、複雑な胸中を素直に口にした。

 「プロという一番上の舞台を目指しているんですけど、どういう道に進んでも最終的な目標はブレない。春には自分の立ち位置が明確になると思うので、頑張っていこうと思います」。1メートル67、71キロと小柄だが、プロ級のグラブさばきを見せる好守の遊撃手。高校通算12本塁打とパンチ力も備える右打者だ。最大の長所は大舞台での勝負強さ。甲子園ファンならば誰もが知るミラクルボーイである。

 1年生だった21年夏の甲子園で、偉業を達成した。広島新庄との1回戦で逆転のサヨナラ3ラン。1年生によるサヨナラ本塁打は大会史上初だった。2年連続出場となった昨夏は、三重との1回戦で決勝の適時二塁打を放ち「甲子園男・緒方」の名を全国にとどろかせた。「甲子園という素晴らしい舞台に立って結果を出すことが本当の恩返しになる」という思いが原動力になった。

 1年夏から右肘の痛みを抱えながらプレーしてきたが、昨年11月にクリーニング手術を受けてコンディションは向上している。最後の夏には万全の状態での送球を披露できる見込みだ。プロ入りへの課題として「足」を挙げる。50メートル走は6秒4と決して遅くないが、プロで二遊間の選手として戦うには物足りなさを自覚。「走り込みと体幹トレーニングで切れを出して走力を高めていきたい」と誓う。

 関東を代表する遊撃手に走攻守の三拍子がそろった時、ドラフト会議の場で「緒方漣」の名が呼ばれることになる。(柳内 遼平)

 ○…緒方は筋金入りの野球小僧である。まだオムツを着けていた3歳の時、食事の際にも左手からグラブを離さなかったほどだ。オムツを両すねにつけて捕手のレガース代わりにするなど、野球に懸ける情熱にあふれていた。18年の選抜で甲子園を初観戦。東邦(愛知)―花巻東(岩手)戦を右中間外野席で目に焼き付け「俺、あそこ(グラウンド)に行きたい。絶対甲子園に行ける高校に行きたい」と母・ゆかりさんに誓った。横浜に進学し、21、22年夏に甲子園出場し有言実行。最後の夏も必ず甲子園に戻る。

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