【虎番リポート】西純躍動の陰にある安藤コーチの思いやり 自発的な取り組みを重んじて見守った

[ 2022年5月17日 05:30 ]

2月の安芸キャンプで、安藤コーチ(左)のアドバイスを受ける西純
Photo By スポニチ

 間近で見続けてきたからこそ、喜びもひとしおだった。1日巨人戦で7回1失点と力投して今季初勝利を挙げた阪神・西純の躍動に、安藤2軍投手コーチは納得の表情を浮かべていた。

 「ずっと純矢を見てきているから、あいつの良いときも悪いときも知っているし。非常に今となっては頼もしい存在」

 フォームが固まらず試行錯誤を続けてきた若き右腕は、昨年の秋季練習からショートアームのテイクバックに取り組んだ。創志学園時代の投球動画も参考材料。1月下旬の新型コロナ感染を経て、2軍・安芸でキャンプインした。

 まずは自主トレの手応えを聞いてそのまま取り組ませたが、ブルペンでも制球は乱れ、球威も上がらなかった。「ちょっとショートアームすぎて球速も出ていなかったし、ボールが全部カット気味になっていた」。修正点にとらえたのはトップをつくるタイミング。一からの指導ではなく要所で助言する形で、西純自身に理想の位置を気付かせた。

 「キャンプの時は早すぎたし、悪いときは遅すぎたし。今はその間のちょうどいいトップのつくり方で投げられているから、あれだけのボールが投げられている」

 自らの現役時代に「自分では納得できないけど、強制的にやらされていたことも結構あった」経験から、選手の自発的な取り組みを重んじる。

 「これがいいんだって感覚があるんだったらやってみたらいいと思うし、こっちは見守りながら。本人が納得して(ショートアームを)やって、結局(課題に)気付いて今があるから。何か理由があってやっているわけだから、最初から完全否定はしない」

 もちろん、放任ではなく、気付いた点を伝えるための話し合いは欠かさない。常時150キロを超える力強い直球と切れ味鋭い変化球。それは、西純自身の努力と思いやりにあふれる指導のたまものだと、見ている。(阪井 日向)

続きを表示

2022年5月17日のニュース