斎藤隆氏が感じたエンゼルス・大谷の変化 「第3の球種」スライダーでスプリット生き、勝てる投手に

[ 2021年6月6日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス3ー2マリナーズ ( 2021年6月4日    アナハイム )

<エンゼルス・マリナーズ>6回2失点で今季2勝目を挙げた大谷(AP)
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 ドジャースなどメジャーで7年間プレーした斎藤隆氏(51)は、今季2勝目を挙げたエンゼルス・大谷の投球から「変化」を感じ取った。ポイントとなったのは「第3の球種」の使い方。スプリットを生かす配球ができたことで、これから勝てる投手に成長していくと分析した。

 以前から大谷が「勝てる投手」になれるかどうかの分岐点は、3巡目の投球にあると見ていた。イニングで言えば、5、6回だ。あの直球とスプリットがあれば、2巡目までは抑えられる。だが、同じ配球で3度抑えるのはなかなか難しい。

 初回。スライダーを3球使った。うまく制球されず2球はボール。それでも2回にも2球投げた。1巡目に「第3の球種」であるスライダーを投げたことに意味がある。5回のマーフィーに対しては、1ストライクからスライダーでファウルを取り、3球目はスプリットで空振り三振。6回は軌道がスライダーに近く、球速を少し速くしたカットボールを5球投じ、3者凡退で切り抜けた。

 大谷と対する打者はスライダーの方がバットの出がよくなる。160キロの速球やスプリットよりも、球速帯や軌道が打ちやすいと感じるからだ。そうなると、打者はスライダーのタイミングで待ち、強く振ろうとする。別の球種を意識させれば、スプリットがより威力を発揮する。5、6回がその投球だった。

 この試合の直球はそこまで良くなかった。しかし、投手というのは絶好調なのは月に1試合、年に多くても10試合程度。それ以外の15~20試合をどうしのぐかが、先発投手の一番重要なところだ。4回無失点ながら7奪三振7四球と大荒れだった4月20日のレンジャーズ戦の投球を、私は「三振か四球かのクローザーのような投球」と書いたが、この日は試合をつくり、勝てる投手の投球だった。

 最後に。リアル二刀流の時は打順は2番にこだわらなくてもいいのではないか。この日のように初回無死一塁で回ると、打撃でもいろいろ考える。試合がある程度、落ち着いてから打席に入る5番や6番でもいいのではないかと、個人的には思う。(元パドレス球団アドバイザー)

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