エンゼルス・大谷 新境地「大人の投球」で初の無四球&10K、宝刀スプリット武器に6回2失点2勝目

[ 2021年6月6日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス3-2マリナーズ ( 2021年6月4日    アナハイム )

<エンゼルス・マリナーズ>6回4安打2失点で今季2勝目を挙げた大谷(AP)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が4日(日本時間5日)、マリナーズ戦に「2番・投手」で投打同時出場し、6回を4安打2失点で4月26日以来39日ぶりの2勝目を挙げた。課題の制球が改善され、メジャー4年目、20試合目の登板で初の無四球を達成。宝刀のスプリットを武器に今季最多タイの10三振を奪った。直球に頼らず、変化球を巧みに操る新境地を開いた。

 劇的な改善だ。大谷の今季試合前までの与四球率は6・44。9回換算で6個以上を与えてきたが、メジャー4年目で初めて無四球にまとめ「メカニックじゃないかなと思っている」と理由を語った。

 「メカニック」とは投球フォームの再現性だ。「基本的に投手は自発的な動きが多い。自分で気を付けることだけ確認していければ」。登板間のキャッチボールではテークバックからトップに入る際の右腕の軌道を何度も確認。「下半身、上半身という分け方はあまりしない。全体的なバランス」と上下の連動性を意識し、軸足にためた力を体重移動しながら上半身に伝える。

 二刀流で調整が難しい中、8試合目の登板でフォームが固まってきた。自然と制球力も上がり、ストライク率は前回5月28日アスレチックス戦での58%から66%まで上昇。打者22人中、3ボールに達したのもわずか2人で「基本的にはゾーンで勝負するということ」と胸を張った。先頭打者弾を浴びたが6回4安打2失点、今季2度目、通算4度目となる2桁10三振を奪った。

 直球に頼らない組み立ても「大人の投球」だった。序盤は最速97マイル(約156キロ)で押したが、マリナーズ打線が直球を狙っていることも踏まえ、変化球を多投。特に効果的だったのが今季から本格的に使うカットボール、さらに前回投げなかったカーブで、横の変化と緩急で打者を幻惑した。10三振のうち、7三振は宝刀スプリット。狙い球を絞らせずに追い込み、「必殺パターン」に持ち込んだ。規定投球回未満ながら、奪三振率12・76は昨季サイ・ヤング賞右腕ビーバーに次ぐリーグ2位に相当する。

 球宴のファン投票ではア・リーグのDH部門で候補入り。「ノミネートしてもらったことは凄いうれしい」と素直に喜び「今まで通り一試合一試合頑張りたい」と謙虚に語った。選手間投票などで選ばれる投手についても、ジョー・マドン監督は「二刀流も問題ない」と言った。初の夢舞台へ。勝ち星を積み上げていけば、二刀流での出場も夢ではない。(笹田 幸嗣通信員)

 《日本ハム時代に無四球2桁K2度》大谷は日本ハム時代に「2桁奪三振&無四球」を2度記録している。14年6月18日の阪神戦(甲子園)では8回1安打無失点、11奪三振。同年7月26日の楽天戦(当時コボスタ宮城)は8回5安打2失点、10奪三振で1死球を与え、いずれも白星を挙げた。

 《奪三振率ア・リーグ2位相当》大谷は42回1/3を投げ60三振を奪い、奪三振率12・76はア2位相当。規定投球回到達まで14回2/3不足している。ちなみに両リーグ1位はデグロム(メッツ)の14・47で、51回で82三振を奪っている。

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