ロッテ・松中臨時コーチ 自らお手“本”3発! 衰え知らずの3冠王「言葉より実際に打った方が伝わる」

[ 2021年2月3日 05:30 ]

連続トス打撃50球をこなし崩れ落ちる安田(右)と笑顔の松中臨時コーチ(撮影・長久保 豊)
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 石垣島に鬼が現れた。平成唯一の3冠王に輝いた現役時代に「練習の鬼」として名をはせたロッテの松中信彦臨時コーチだ。安田に両足を大きく開かせ、重心を低くさせると容赦なくトスを上げ続けた。連続30回を3セットの予定だったが、最後はおまけで50回。21歳が地べたに倒れ込むと、うれしそうだった。

 「若い選手に教えるのは、凄く楽しい。松中はどんな指導をするのか、と思っていたかもしれないが、いろんな引き出しを少しずつ出しながら楽しくやらせてもらっている」

 ソフトバンクを15年限りで退団し、現役を引退。昨季は四国アイランドリーグ・香川でGM兼総監督を務めたが、古巣と激突した昨年のCSを見て、安田、藤原、和田、佐藤都――、若くて才能のある左打者が多いことは知っていた。そんな中で気になったことが一つ。47歳は「上体で打つ選手が多かった。下半身の使い方、そのへんを重点的に教えていきたい」と連日の熱血指導を見せている。

 フリー打撃の合間には、自らバットを手にした。わずか10スイング程度で大きなアーチを右翼席へ3度かけた。「僕もまだ、ちょっと打てる。言葉よりも、軸足をこうやって動かすんだとか、実際に打った方が伝わる。もっと飛ばせるように僕も練習したい」。3冠打法を実演し、お手本も見せた。

 これに刺激を受けたのか。安田はフリー打撃で12発を放ち、ランチ後の特打では84発の柵越えを見舞った。「4回目のキャンプだが、一番バットを振っている。下半身の張りも強いが、打球の飛距離は出ている」。オフの自主トレではソフトバンク・柳田に師事。今キャンプでは松中道場に弟子入りした効果を口にする。松中コーチにとっても、安田は強化指定選手だ。「いきなり3冠王は難しいけど、4番として全試合出場してほしい」。12日の打ち上げまで、遠慮なくしごくつもりだ。(横市 勇)

 ≪14年ゴジラも柵越え披露≫臨時コーチとしてフリー打撃で実演したのは、松井秀喜氏だ。14年の巨人宮崎春季キャンプでランチ特打を行い、22スイングで5本の柵越え。サンマリン宮崎の右翼席中段に叩き込む130メートルの特大弾も放ち、3万7000人の観衆を沸かせた。

 見守った選手に「何か(ヒントが)あったことを祈りたい」と話し、打撃投手を務めた阿部(現2軍監督)は「(バットに当たった時の)音が凄いよね」と驚いた。12年12月の引退表明から1年以上のブランクを感じさせず、松井氏は桃井恒和球団社長に「契約しますか?」と得意のジョークも飛ばしていた。

 【今キャンプの臨時コーチ】☆立浪和義氏(中日)通算2480安打の「ミスタードラゴンズ」。打撃強化を託され、キャンプ初日の1日から京田に自らトスを上げるなど2時間超の熱血指導。この日は3年目の根尾に内角のさばき方などについて助言した。

 ☆川相昌弘氏(阪神)巨人などで守備の名手として鳴らし、プロ野球記録の通算533犠打のバント達人。今キャンプは初日からバント、守備の指導と「できることはアドバイスした」とノウハウを伝授した。

 ☆古田敦也氏(ヤクルト)元監督で名捕手。高津監督ともバッテリーを組み、ヤクルトの黄金時代を築いた。5日の第2クールから合流予定で、バッテリー強化だけでなく打撃面なども「凄く期待している」と高津監督。

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2021年2月3日のニュース