岩隈氏も「楽しみ」 楽天・田中の日本球界復帰

[ 2021年2月3日 09:00 ]

ヤンキース時代の田中将大
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 楽天に田中将大投手(32)が帰ってきた。元同僚としての思い――。活躍への期待値――。日本球界に復帰した田中に課題はあるのか――。自らもメジャーを経て日本球界に復帰し、昨季限りで現役を退いた楽天時代のチームメートの日米通算170勝右腕・岩隈久志氏(39)に聞いた。(聞き手・川手 達矢)

 ――楽天に田中投手が帰ってきます。
 「これはもう、僕もファンの皆さんと一緒で“楽しみ”の一言ですよね。復帰が決まる少し前に、連絡をくれました。復帰を決めた理由には、東日本大震災から今年で“10年”ということもあったと思います。戻ってくることは、東北にも、日本球界にとっても、すごくいいことだと思っています」

 ――活躍への期待値は。
 「メジャーでバリバリやっていた選手で、まだまだメジャーでもできる選手。同じように、日本でも普通にやることができれば2桁は勝つことができると思いますね」

 ――「普通」にやるための課題は。
 「環境が戻ることに、早く慣れることだと思います」

 ――具体的には。
 「ボールとマウンド、ストライクゾーンの3つの話になります。僕の場合、メジャーから日本に戻った際、日本のボールは小さく、そして皮が柔らかく感じました。そのため、指にかかるボールを投げようとすると、必要以上に“グッ”と力を入れてしまい、結果的に引っかかってしまうことがありました」

 ――他には。
 「ツーシームに代表されるように、メジャーのボールは動かしやすい。でも、日本のボールはそこまでは動きません。曲がり幅や落ち幅をインプットさせる作業が必要になってくるでしょうね」

 ――マウンドはどうでしょう?
 「メジャーのマウンドは硬い。最近は日本のマウンドも硬い球場が増えてきましたが、それでもメジャーに比べたらまだまだ柔らかいところもあります。そういった球場では、試合中にマウンドを掘りながら、アジャストさせていく必要があるとは思います」

 ――思い出す感覚か、それとも新しくつくっていく感覚に近いのか。
 「新しくつくる感覚になると思います。僕の場合もそうでしたが、メジャーである程度プレーしていたことから、ボールもマウンドもそちらになじんでいます。特にマウンドは、彼が日本にいたときとは、また違った固さになっていると思います。感覚を思い起こすというよりは、一から確立させるような感じになると思いますね」

 ――ストライクゾーンについては。
 「メジャーに比べれば、日本のバッターは体格が小さい選手が多くなります。僕は、打席に打者が立っている状態でマウンドからストライクゾーンを見たとき、実際よりもストライクゾーンが小さく見える感じがありました」

 ――田中投手には可能なことか。
 「もちろん、彼なら可能です。メジャーに挑戦したときも、ボールやマウンドにそれほど苦しんでいなかった印象があります。それは、器用なタイプだからだと感じています。そもそものポテンシャルが高い選手ですし、ブルペンやゲームで投げていきながら、十分に修正していけると思っていますよ。ストライクゾーンも同様で、日本の打者との“間”も含め、試合をこなしていくことで違和感が取れてくると思います」

 ――最後に改めて、田中投手への期待を。
 「東京オリンピックもありますし、シーズンでは日本一を目指してやってくれると思います。日本球界が盛り上がることは間違いないでしょうし、早くシーズンで投げている姿を見てみたいですね」

 突然の電話取材にもかかわらず、気さくに応じてくれた岩隈氏。その口ぶりは、終始、穏やかだった。過去にエースとしてチーム内で切磋琢磨(せっさたくま)した田中の日本球界復帰を喜び、活躍を心待ちにしているのが、電話口の声からも伝わってきた。

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