楽天ドラ1・早川 マー君級“脳力”で10勝イケる! 初ブルペンで球も頭もキレキレ

[ 2021年2月3日 05:30 ]

石井監督に見守られながらブルペンで投球練習する早川 (撮影・白鳥 佳樹)
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 非凡さは、その投球だけじゃない。楽天のドラフト1位・早川隆久投手(22=早大)が2日、キャンプ2日目で初めてブルペン入りした。最速155キロを誇る黄金ルーキー左腕は、考え方も超一流。13年にチームを日本一に導き、8年ぶりに復帰した田中将大投手(32)に通じる「野球脳」をフル稼働させ、首脳陣も改めて能力の高さを絶賛した。

 キャンプ2日目。早川がブルペンに初めて足を踏み入れた。無観客だが、チーム内の注目度はNo・1。石井監督だけでなく、隣接するサブグラウンドからは岸や則本昂、牧田ら主力投手から熱視線を送られた。

 「体の開きを抑えるためにボディーコントロールを意識した。7~8割の力。細かいところを気にせず、気持ち良く投げました」

 まずは通常のセットポジション。捕手の下妻のミットをめがけて腕をしならせた。「走者が出る状況が大半なので、クイックも確認しなければ」。途中からクイックモーションも交え、実戦もイメージ。オール直球で37球を投げた。投球練習を初めて見た石井監督から「バランスもよく、リリースポイントも安定していた。2桁勝てる要素のあるボールを投げている」と太鼓判を押された。

 投げて終わり、ではない。すぐさま指揮官に駆け寄って「復習」が始まった。「同じ左投手なので、クイックはスピードが必要なのか、制球力や完成度が必要なのかを聞かせてもらった」。同じく意見を求められた小山投手コーチは「クイックとか実戦のことを言ってくる若い投手は少ない」と舌を巻いた。

 早川は「予習」も抜かりなかった。初日はあえて投球練習を見送り、翌日以降のブルペンの準備の時間に充てた。「(1日の)キャッチボールの時点で湿度を感じた。リリースの引っかかり具合が仙台と違った」。この日は朝6時45分に起床し、ストレッチで肩や肘の状態を確認し自らにGOサイン。球場では「肩を早くつくりすぎないこと」を意識してキャッチボールの距離と強度を調節した。

 小山投手コーチは、早川に田中将の若手時代を重ねた。「しんの強さがあるところは似ているのかな。流されないし、ぶれない」。確固たる自分を持ち、自ら考えて動く、優れた「野球脳」を持つ。プロで大成するために不可欠な素養を備える最速155キロ左腕は、節分にちなみ「払いたい鬼はケガをしないこと。福運は田中将大投手のように勝ち運をつけられるようになりたい」と目を輝かせた。

 現時点では今月下旬の実戦デビューを想定している。「徐々に球数を増やして、思い描いた調整をやっていければ」と早川。持ち前の頭脳を駆使しながら、最高のパフォーマンスを発揮できる状態に仕上げていく。(重光 晋太郎)

 ≪先輩たちも驚いた≫▼楽天・則本昂 そんなに力を入れていないのに良い球がいっていた。(早川は)自分で考えてやれているので凄い。自分が新人の時は何も分からなかった。

 ▼楽天・下妻 体は大きくないけど、球が力強くてコントロールが良い。体感の球速が速くて、145キロは出ていたと思う。

 ≪球団史上3人目なるか≫楽天のルーキー2桁勝利は07年田中(11勝)と13年則本(15勝)の2人だけ。早川が達成すれば球団史上3人目となる。パ・リーグの新人左腕2桁勝利は06年八木智哉(日=12勝)が最後。15年ぶりに誕生するか。

 ▽田中将の「野球脳」 スクリューボールなど特殊球を除き、ほぼ全ての球種を操る。投手プレートを踏む位置を巧みに変え、ツーシームやスライダーを生かす。試合の勘所を読む嗅覚に優れ、米移籍前から走者を背負うほど被打率が下がるのは有名。状況に応じた投球ギアの上げ下げは匠(たくみ)の領域だ。守備力も優れメジャーのゴールドグラブ賞候補にノミネートされたこともあり、球場の形状や状況に応じて送球カバーの位置も変える。

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2021年2月3日のニュース