ロッテ井口野球の本質 四球を狙えとは一度も言っていない

[ 2020年12月1日 19:37 ]

ロッテの井口監督
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 ロッテ担当として一年間、井口野球を見てきた。

 10月9日に首位ソフトバンクとの直接対決で勝利すると、ゲーム差なしまで迫った。そこから一気に離されただけに、15年ぶりのリーグ優勝を期待したファンの落胆ぶりは理解できるが、ネットなどによるファンのコメントに違和感を覚えた部分もある。

 四球を選ぶという作戦の認識だ。どうしても、チーム打率・235が12球団ワーストと低かっただけに、今季のロッテはチャンスをつくりながら得点能力も低かった。そんな影響もあったのだろう。「四球を狙っていることが他球団に把握され、相手バッテリーはストライクゾーンで攻める作戦に変更して打てなくなった」という意見が多く感じた。

 ただ、井口監督は「四球を選ぶ」ことの重要性こそ何度も口にしていたが、「四球を狙え」とは一度も言っていない。例えば、10月1日の日本ハム戦で1点ビハインドの9回2死満塁で安田が左腕・宮西から見逃し三振で終わった試合後のことだ。

 3年目の若き4番は3ボール1ストライクからの甘い球を見逃し、2球ファウルで粘った後に、外角低めの直球に手が出なかった。押し出し四球でも同点に追いつける場面だが、指揮官は「見逃し三振」に倒れたことでなく、カウント3―1からストライクを見送ったことを厳しく指摘した。

 この日の球審は明らかにストライクゾーンが広かった。これは両チームにとって同じ状況で、どちらが有利不利という問題ではない。ただ、ストライクゾーンが広いならば、なおさら早いカウントから甘い球を積極的に打つことが重要だと説いた。

 実際にストライクをテンポよく投げ込む投手に対しては、チーム全体で早打ちに徹していたことも多かった。もちろん、結果につながらないこともあった。井口監督がやりたかったのは、打者有利のカウントでは甘い球をしっかりと狙って、追い込まれたら安打も四球も同じ価値があるのだから、厳しい球も粘っていこうというものだった。

 この作戦が機能したからこそ、チーム打率が低くてもチャンスをつくり、9月までチームは大健闘した。逆に、作戦を徹底しながらも、シーズン終盤には蓄積してきた肉体的疲労で選手たちのパフォーマンスが落ち、優勝争うというプレッシャーに打ち勝てなかった。正直なところ、ここを打ち破る力が、まだこのチームにはなかったのかなと感じた。

 来季の課題は、得点圏から走者を還すことができる打力を磨くこと。今季は苦しみながらも、最後に粘り2位に飛び込んだ。そんな経験を糧に安田、藤原の飛躍、井上、中村奨、藤岡の逆襲を期待したい。このオフはみんな、必死になってバットを振るだろう。来春キャンプに入る頃には、どんな手のひらになっているのか、楽しみだ。(記者コラム・横市 勇)

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