中畑清氏 本気で世界一目指すソフトバンク 日本シリーズ4連覇は必然

[ 2020年12月1日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】今年もソフトバンクが4勝0敗で巨人を圧倒。世界一を目指しているソフトバンクと日本一を目指している巨人の目的意識の違いを痛感させられたね。

 150キロを打ち崩せば日本一にはなれるけど、160キロに対応しないと世界では戦えない。今年メジャー入りした筒香嘉智(レイズ)や秋山翔吾(レッズ)が速い球に苦労したようにね。ソフトバンクはそこを意識して選手づくりをしてるんだよ。
 早くから3軍を設け、筑後に立派なファーム施設を建設。3軍専用球場もつくった。育成選手をたくさん抱え、好きなだけ練習させられる環境を整えている。

 世界で事業を展開する孫正義オーナーが惜しみなくお金を出し、「世界のホームランキング」王貞治会長にチームづくりを託す。世界一を目指す意識を共有した上で「金は出すけど、口は出さない」。理想的な関係だよね。

 王さんの中には、巨人軍の創設者で「プロ野球の父」と呼ばれた正力松太郎さんの遺訓が生きているんだと思うな。

 巨人軍は常に紳士たれ

 巨人軍は常に強くあれ

 巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ

 3つめの訓示。私が現役だった1970年代後半から80年代は日本人が大リーグでプレーする道は閉ざされていて、ピンとこなかった。

 私が駒大1年生だった72年に日米大学野球が始まり、私も2年生と4年生のときに出場した。巨人に入ってからは78年の日米野球でマリオ・ソト(レッズ)からホームラン。この一発で1軍に定着したんだけど、アメリカ野球を追い越そうという意識はなかったな。

 2006年からワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が始まり、王さんは第1回大会の優勝監督。いつかMLBとNPBのチャンピオン同士が激突する真のワールドシリーズ実現を意識するようになったんだと思う。その日のためのチームづくりなんだ。

 高いレベルを求め、生え抜きの選手を育ててきた結果の日本シリーズ4連覇。球界に一石を投じてくれているように思う。このメッセージを巨人はどう受け止めているのだろうか。(本紙評論家・中畑 清)

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2020年12月1日のニュース