【猛虎最高の瞬間(7)】聖地の虎党に決別の一撃 新天地に飛び立った鳥谷

[ 2020年6月1日 08:00 ]

19年9月22日、DeNA戦の5回、代打・鳥谷は左前適時打を放つ
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 創刊72年目のスポニチ紙面を掘り起こし、偉大な選手たちが阪神のユニホームで打ち立てた「猛虎最高記録」と、その瞬間に迫る連載の第7回。鳥谷敬内野手(当時38)が球団最多2085安打を放った2019年9月22日にスポットライトを当てる。

 まだ、記憶に新しい。9カ月前のスポニチを開く……までもなく、偉業は翌23日付スポニチの1面で大々的に報じられていた。

 甲子園にDeNAを迎え撃った夜だった。矢野阪神は逆転によるクライマックスシリーズ(CS)進出へ、一戦も落とせない状況。その試合中、「猛虎最高の瞬間」が訪れる。

 5回1死一、二塁。代打として登場したのが鳥谷敬だった。4万6738人の大観衆の拍手と歓声を一身に浴びて打席へ向かうと、相手先発エディソン・バリオスの2球目、144キロのツーシームを左前へ運び、二塁走者・北條史也を本塁に迎え入れた。この試合の決勝打で、鳥谷にとって19年シーズン初の決勝打でもあったこの安打が「猛虎最高」の通算2085安打目だった。

 その試合後、シーズン初のお立ち台にも上がった鳥谷は「懐かしい感じがします」とはにかみ、「声援に後押しされて良いヒットが打てました」とこうべを垂れた。囲み取材でも「タイガースが終わりとなる前から打席に立った時の声援はすごい励みになるし、本当に出番を待ってくれているんだなというのを感じる。その中で、なんとか結果を残すことが毎日の活力になるので、すごく感謝しています」と、虎党への謝意を言葉に乗せた。

 初安打は04年4月2日。開幕の巨人戦(東京ドーム)に「7番・遊撃」で初先発初出場し、8回の第4打席で相手2番手・前田幸長から記録した左前打だった。「思ったよりも緊張せず、普通にできました」。以来、安打を量産し続けて金字塔を打ち立てた背番号1も、16年目シーズンは開幕から主にベンチスタートが続いた。

 昨年8月29日には球団首脳との会談で引退勧告を受け、拒否。同31日に取材に応じ、シーズン限りでの退団を表明した。「どういう形にしても、タイガースのユニホームを脱ぐということを(ファンに)伝えたかった」。そしてあの夜。鳥谷は自らの口でも虎党に決別を告げたのだった。

 翌23日以降も残り全4試合に代打出場したが、無安打。CS敗退と同時に退団し、今年3月10日にロッテ入団が決定した。それでも「阪神・鳥谷」の記録と記憶は、今後も色あせることはない。(惟任 貴信)

 《四球部門でも最高》鳥谷は四球部門でも「猛虎最高記録」を保持している。その瞬間は19年9月16日の巨人戦(東京D)。1点リードの9回、先頭のラファエル・ドリスの代打で出場し、相手3番手・沢村拓一から四球を選んだ。「先頭だったので」と振り返ったこの打席で「猛虎最高」の通算1046個目の四球を記録。球団歴代2位・掛布雅之の819個を200以上も上回る四球数は鳥谷の卓越した選球眼とともに、相手投手の警戒ぶりを物語る。

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