ヤクルト・ドラ1奥川 プロ初打撃投手で152キロ!3人圧倒で7月1軍デビュー前進

[ 2020年6月1日 05:30 ]

打撃投手を務めた奥川(球団提供)
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 ヤクルトのドラフト1位右腕・奥川恭伸投手(19)が31日、埼玉県戸田市の戸田球場でプロ入り後初めて打撃投手を務め、最速152キロを記録するなど打者3人を圧倒した。今後の実戦登板も含めて当面は2軍で調整を続けるが、高津臣吾監督(51)が可能性を示している7月の1軍デビューに向け、黄金新人が着実にステップを踏んでいる。

 やはりモノが違う。高卒新人とは思えないバランスのよいフォームから投じられたボールが、うなりを上げて打者に向かう。プロで初となる打撃投手を務めた奥川が、視察した小川淳司GMや伊東昭光編成部長ら関係者の視線を独り占めした。

 「久しぶりに打者に対して投げることができて、良かったです。徐々に調子も上げていきたいと思います」

 圧巻だった。投じたのは計27球。自身最速にあと2キロに迫る152キロの直球にスライダーとフォークも試した。投球前に球種を打者に告知する形式ながら同期の長岡、武岡、さらにプロ2年目の育成捕手である内山にもバットの芯でとらえられることはほぼなし。昨夏の甲子園準V右腕がその実力を発揮した。

 1月新人合同自主トレ期間中に右肘の軽い炎症で一時はノースロー期間も設けた。そこから再発を防止しながら着実に階段を上がり、たどり着いたプロ入り後初となる打者相手の投球。この日は1軍練習の指揮で視察できなかったが、5月下旬に出演したテレビ番組で7月の1軍デビューについて「可能性はあります」と語っていた高津監督に朗報を届けた。斎藤隆投手コーチはこれまでに「球団の中でプログラムを持って、どのように育てていくか考えてやっている」と方針を示しており、今後もしばらくは2軍で調整を続けるが、この日の好投で実戦デビューも近づいた。

 昨年12月に都内で行われた新入団選手発表会で憧れの投手にヤンキース・田中の名を挙げ「エースらしい投手ですし、そういう投手になりたい。1軍で投げて勝つことが目標」と活躍を誓った奥川。新型コロナウイルスの影響で日本中が暗い話題ばかりだが、黄金新人はその活躍で勇気や希望を届けることができる。誰もが待ちわびる1軍デビューに向け、着実に歩を進める。(川手 達矢)

 【奥川のこれまで】

 ▼1月7日 埼玉・戸田で新人合同自主トレがスタート。

 ▼同15日 横浜市内の病院で右肘の軽度の炎症と診断され、ノースロー調整が決定。

 ▼2月1日 宮崎・西都で2軍キャンプイン。シャドーピッチングなどで調整。

 ▼同15日 リハビリでの別メニュー調整から全体練習に復帰。

 ▼同22日 初ブルペンで片膝立ちの捕手に22球。池山2軍監督は「マー君(ヤンキース・田中)の1年目よりボールが重いかも」。

 ▼3月11日 初めて座った捕手へのブルペン投球で30球。

 ▼同19日 初めて高津監督の前で投球練習。53球に指揮官は「思った以上に縦の角度も横の角度もある」。

 ▼同24日 8度目のブルペン入りで変化球を解禁。スライダー、カーブ、フォークを交えて計63球。

 ▼4月20日 ブルペン入りし、プロ入り最多の106球。

 【大物高卒投手の初フリーは…?】

 ☆99年松坂(西武)2月16日、小関、垣内を相手に78球。52スイングで安打性14本。小関のバットを2本へし折る剛腕ぶりを発揮。

 ☆05年ダルビッシュ(日本ハム)キャンプは右膝など故障で出遅れ4月29日に鎌ケ谷で初登板。打者2人に49球、最速137キロ。

 ☆07年田中(楽天)2月9日、打者4人に対し58球を投げ安打性5本。野村監督は、実戦で積極的に起用する方針を示唆。

 ☆13年大谷(日本ハム)2月21日、2軍キャンプで変化球交え45球。初球から4球連続ボール、途中薬指から出血も安打性4本。

 ☆20年佐々木朗(ロッテ)3月24日、ZOZOマリンで打者2人に直球のみの25球を投げ安打性5本。最速157キロを3度、計測した。

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