“守備の名手”楽天・藤田を悩ませた天然芝 コンマ数秒の反応が初期化状態に

[ 2016年12月3日 10:00 ]

2年契約を結んだ楽天・藤田は来季への意気込みを語る
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 現役時代の晩年、松井秀喜氏は両膝痛に悩まされた。10年エンゼルス時代の本紙インタビューでは、日本球界復帰の可能性を「僕の膝でどうやって人工芝の上でプレーするんですか。現実的に無理です」と否定した。

 メジャーでは30球場中28球場が天然芝なのに対し、日本では足腰への負担が大きい人工芝の球場がほとんど。松井氏はDH制のあるパ・リーグも「走塁はあるんだから。膝を痛めて登録抹消ですよ」と選択肢に入れることはできなかった。

 逆に、本拠地が天然芝に変わったことで苦しんだ選手がいる。現在の国内12球団の本拠地では甲子園、マツダスタジアムに続く3球場目として、今季からの導入となったコボスタ宮城の二塁を守る楽天・藤田。言わずと知れた守備の名手だ。

 「初めて天然芝に変わると新聞で見た時、なかなか寝付けなかった。どういうふうにプレースタイルを変えたらいいのか、いろいろ考えると…」

 データ分析が発達した近年は特に、試合前に相手打者の打球傾向を頭に叩き込むのは当たり前。藤田も「打つ前から“こういう打球が来るんじゃないか”と予測する」という。が、天然芝では人工芝に比べて球足は遅くなり、不規則なバウンドも増える。打球との距離感や捕球、送球のタイミングなど体にしみ込ませてきたコンマ数秒の反応へのプログラムが、いわば初期化状態となった。守備に生きる選手にとっては死活問題である。

 しかし、藤田は試行錯誤しながら適応した。「1年間、本当に慣れるのが大変で。自分の中ではいいプレーができなかった」と謙遜するが、二塁手リーグトップの守備率・993を記録して2年ぶり3度目のゴールデングラブ賞を受賞。海外FA権を行使せずに残留することを決断し、11月27日に2年契約を結んだ。

 「1年間試合に出させてもらって慣れたと自分の中では思っているし、不安もほとんどなくなったので、来年はいいプレーを見せたい」。来年は35歳。藤田を悩ませた天然芝は足腰への負担を軽減し、今後の野球人生には大きな味方となるはずだ。「うちのチームには(松井)稼頭央さんという、お手本とする選手がいる」。現在41歳の松井稼のように、不惑超えの現役続行が目標。そう語る男の顔は晴れやかだった。(記者コラム・大林 幹雄)

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