超絶コントロール 生涯打者5600人に暴投ゼロ

[ 2016年10月31日 10:30 ]

生涯打者5600人に暴投ゼロだった柿本
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 【宮入徹の記録の風景】2016年の日本シリーズは日本ハムが10年ぶり3度目の優勝を遂げて幕を閉じた。第1戦は10月22日にマツダスタジアムで小雨の降る中、広島がジョンソン、日本ハムは大谷の先発で始まった。ジョンソンは今季15勝7敗、防御率2・15の好成績で沢村賞を獲得。一方の大谷は投げては10勝4敗、打っては規定打席未満ながら打率・322、22本塁打、67打点とご存じ投打二刀流だ。

 2人の投げ合いに注目が集まったが、ジョンソンは1回表1死一、三塁で打者・中田の5球目に暴投を記録。その裏、大谷は2死一塁で打者・松山の2球目にこちらも暴投と荒れた滑り出しとなった。ジョンソンは今季レギュラーシーズンで180回1/3を投げ暴投は3。大谷は140回で2倍の6あったが、初回暴投は1度もなかった。やはり、日本シリーズ初登板のプレッシャーが相当あったのだろう。

 公式戦での暴投に関するものでは、過去に信じられないような記録を残した投手がいる。1960年代に中日などで活躍した柿本実がその人。60年から69年まで実働10年間で300試合に登板し、1402回1/3、打者5600人に対し暴投0。総投球数は1万9160球なのだから、ただ驚くしかない。金田正一の400勝、王貞治の868本塁打など誰もが知っている大記録とは別に、柿本の生涯暴投0は埋もれた大記録といえそうだ。

 もう1人暴投の少ない投手を挙げるとすれば、巨人の江川卓を忘れるわけにはいかない。通算266試合に登板し、1857回1/3、打者7509人に対し与えた暴投はわずか4。79年巨人に入団してから5年目の83年8月7日ヤクルト戦まで0で通した。ところが同年8月13日広島戦の8回2死三塁で、高橋慶彦の5球目に暴投し1点を献上。暴投0は1054回1/3、打者4181人、1万6156球でストップした。余談になるが、当時筆者は記録の仕事を始めて間もない頃で江川の全投球をファイルに記入していた。この記録が途切れた時は随分落ち込んだことを覚えている。

 江川といえば主にストレートとカーブを武器に投球を組み立てた。現在は制球のしづらいフォークなど、縦にストンと落ちる変化球を多くの投手が持ち球にしている。もはや暴投を少なく抑えることは至難の業。10年以上も投げ続けて暴投0の投手が出てくる確率は、それこそ限りなく0に近い。(専門委員)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。本社制定の最優秀バッテリー賞の選考委員会には、1回目の91年から25回連続で資料説明役として出席。

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