「打てる捕手」の夢広がる西武・森 阪神獲っていれば…

[ 2015年8月22日 12:20 ]

西武の森

 なぜ、阪神は2年前のドラフトで森を指名しなかったのか――。あるベテランスカウトが「どうして阪神は森に行かなかったのかな。チーム事情を考えれば、捕手は必要なはず。1年目から我慢して使えばよかったのに…」と首を捻っていたことがある。

 森とは大阪桐蔭出身で、西武の2年目・森友哉のことである。入団1年目から3試合連続アーチを放ち、今季も開幕からDHでレギュラーとして活躍。球宴ファン投票ではDH部門で両リーグ最多得票を獲得し、代打アーチもマークした。西武では守備力の高い炭谷の存在もあって、今季捕手出場はないが「打てる捕手」として夢が広がる。

 「打撃がいいのは最初から分かっていた。肩もいい。投手や4番打者はFAや外国人を獲得すればいいが、捕手はそうはいかない。しかも、阪神には藤浪もいる。森をいれば、もの凄く話題にもなる。結局、西武が単独指名だもんな」

 阪神だと西武のようにDHで起用することもできないが、森のポテンシャルと大阪出身という地域性、さらに藤浪との話題性を考えれば、捕手として起用しながら育成するだけの価値があったはず、とも続けた。

 守備力が重要視される捕手だが、優勝するチームには「強打の捕手」がいることが多い。近年ならば巨人・阿部。さらには中日・谷繁、ロッテ・里崎らはチームを優勝に導いた「打てる捕手」と言えるだろう。少し前を振り返っても、ダイエーには城島、阪神には矢野、ヤクルトには古田、西武・伊東ら打力のある名捕手がいた。

 裏を返せば、打率1割台のような捕手では優勝は厳しい。「9番・投手」のセ・リーグはその傾向が特に顕著になる。今季のソフトバンクのように、打線の中に捕手以外で打率3割打者がズラリと並んでいるようならば、話は別なのだろうが…。

 「西武は森を捕手で育てるつもりはないのか」――。そんな話もよく耳にするが、先ほどのベテランスカウトは「まずは打撃を1軍レベルにしておけば、捕手をやらせるときに守備に専念させられる」とも言っていた。なるほど、と思った。ドラフト戦略に正解はないのかもしれない。ただ、ひとつ言えるのは「打てる捕手」というのは貴重だということ。そして森にその可能性があるということなのだろう。(横市 勇)

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