原監督 川上氏へささぐ弔い星 打線7人組み替え的中、タイ勝

[ 2013年10月31日 06:00 ]

<巨・楽>黙とうする巨人ナイン

日本シリーズ第4戦 巨人6―5楽天

(10月30日 東京D)
 ようやく巨人打線が目を覚ました!コナミ日本シリーズ2013は30日、第4戦を行い、巨人が6―5で楽天に逆転勝ち。対戦成績を2勝2敗のタイとした。原辰徳監督(55)は打順を大幅に変更して活性化。長野久義外野手(28)が3安打3打点をマークすれば、同点の7回には伏兵の寺内崇幸内野手(30)が決勝打を放った。川上哲治氏が成し遂げたV9以来、40年ぶりの日本一連覇を目指すナインが、偉大な大先輩に白星をささげた。

 左肩の喪章が原監督を称えるように揺れていた。負ければ王手をかけられる一戦で逆転勝利。連敗を止め、2勝2敗とタイに戻す白星を偉大なOBへささげた。

 「川上監督には大変お世話になりました。巨人軍の父。きょうの勝利というものを喜んでくれている、そう思います」

 試合前の練習中に飛び込んできた訃報。川上氏が成し遂げたV9以来、40年ぶりの日本一連覇を目指している指揮官は、大胆に動いた。シリーズ3試合で打率・138、4得点と不振だった打線を大改造。3試合無安打の高橋由とロペス、8番で活躍していた亀井を先発から下げた。第3戦まで固定だった1番から8番のうち、動かさなかったのは1番・長野と2番・寺内のみ。試合前のミーティングでは「スターティングメンバーは変わる。しかし、全員で戦うというのは変わらない」とナインを鼓舞し、自らは局面に応じた積極用兵に打って出た。

 3点を追う4回、先頭の中井に代打・松本哲を送り四球。続く途中出場の亀井も四球を選んだ。長野の右前適時打、阿部の中犠飛で1点差とし追撃ムードが生まれた。松本哲は5回に四球、7回にも中前打と3打席連続出塁で3得点。亀井も2得点と1犠打を決め、2人で5得点と逆転の起点になった。「ゲームの流れで全員野球をするという野球をやった」。今シリーズ最多の野手13人を起用。継投でもマシソンを7回から2回、左打者が並ぶ9回は抑えの西村でなく左腕の山口を投入と変幻自在だった。「チームが困ったときに背中を押すのが監督の仕事」。信念の采配でシリーズの流れを引き戻した。

 川上氏が現役を引退した58年に、原監督は生まれた。監督就任後はキャンプ前、シーズン中に手紙や電話で激励を受けた。現役時代、多摩川の室内練習場で受けた打撃指導が最大の思い出。東京ドームの監督室には、06年に2次政権に突入した際、川上氏ら歴代監督の言葉が書かれた色紙を飾った。毎試合、それを見渡して戦いに向かう。「これから先も燦然(さんぜん)と輝く、大先輩、川上先輩です」。この日は川上氏の色紙が力をくれた。

 4時間7分の打撃戦を制し2勝2敗。「タイに持ち込んだのは大きい。ほとんどの選手が戦いの場に立ったので、落ち着いて戦いたい。3、4番が存在感を出してくれたらもっといい」。円熟の10年目を迎えた指揮官が、勝負どころでチームを活性化させた。

 ▼巨人・白石興二郎オーナー 川上さんの足跡こそが巨人軍の歴史と伝統そのものです。後継者の我々はV9を神格化することなく、V10を大目標に戦い抜くことが、川上さんのご遺志に報いる道と信じます。

続きを表示

この記事のフォト

2013年10月31日のニュース